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「Aは、吸血鬼？」
こくり、と頷く。怯えたように俺を見上げるAの手をさらに強く握った。少しでも安心できるように。
どうやらAは吸血鬼らしい。しかし、吸血鬼といえば肌も死人のように真っ白であったはずだ。そんな疑問を振り払う。そんなこと、今の状態のAに聞けるわけもないし、今必要なことではない。
今すべきことは、とにかくAが考えているであろうことを否定することだ。彼女はどうせリーマスと同じことを考えるのだ、吸血鬼だから、人狼だから、一緒にはいられないと。
「腕、捲るぞ」
人生で一番優しい声を出したんじゃないだろうか。抵抗しないAのローブを捲ると、先ほど自分で噛んだ傷がついていた。かみちぎる勢いで噛んだのか少し抉れている。俺は“エピスキー”と唱えてその傷を治した。
そうすると、Aは慌てて俺の左手をとり、ひっくり返して手のひらを見た。先ほど血を出すために傷をつけたのでざっくりと肉が見えている。血はAがきれいに舐めとったが。Aは慌ててローブから杖を取り出し、同じように呪文を唱えて俺の傷を治した。
「ん、ありがとう」
「、ちが、私が、悪くて…ごめんなさい」
俺がお礼を言えばすぐにAは手を引っ込めて、杖もカラン、と地面に落とされる。まるで自分の無害さをアピールしているようだった。そんなことをしなくてもAを見る目なんて変わりはしないのに。とりあえず事情を聴かねばならない。俺は落ちた杖を拾ってAに手渡した。
「Aが吸血鬼だろうがなんだろうが、友達は辞めない。わかったか？」
「…でも、」
「でもじゃない。むしろAが吸血鬼だって知れてうれしいよ」
彼女はずっと強い人だと思っていた。実際に強い。
俺が初めて彼女を認識したのは寮の組み分け前だった。彼女はその容姿を差別するような言葉を投げかけられていたが、にっこりと笑って相手に名乗った。そして、これからよろしくね、と握手までしようとしていた。当然その手は叩き落されていたが。
だが実際は傷ついていた。今ならわかるが、きっとあの後一人になったタイミングで落ち込んだのだろう。それを悟られず、気丈に振舞う彼女は、弱くて強かった。
ラッキーアイテム
マールヴォロ・ゴーントの指輪
今日の呪文学
ルーモス（光よ）
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アネモネ(プロフ) - お昼ご飯はモンスターさん» ありがとうございます！長い作品ですが、お時間あるときに読んでいただけると嬉しいです！ (2023年1月27日 13時) (
レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
お昼ご飯はモンスター(プロフ) - キメラ想像したらめっちゃ笑いましたwwまだ読んでいる途中ですが続きが気になって黙々と読んでいます。更新お疲れ様です、応援してます！ (2023年1月26日 10時) (レス) id: be756b31db (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - お昼ご飯はモンスターさん» つなぎ目だらけで舌を出すキメラを生み出してしまいました…wご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2023年1月26日 10時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
お昼ご飯はモンスター(プロフ) - フランケン・アインシュタインはおもろすぎるｗアインシュタインとフランケンシュタインは別物ですよ〜 (2023年1月25日 10時) (レス) @page8 id: be756b31db (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - みーやんさん» ご指摘ありがとうございます！見当たる限り修正しました、ご迷惑おかけします。読んで下さりありがとうございました、これからもよろしくお願いします (2022年12月13日 0時) (レス) id: cfb2af5982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アネモネ | 作成日時：2022年11月26日 20時
