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彼女は自らのローブを震えた手でまくると、その腕にかぶりつき始めた。どうやら吸血行動を抑えるために行っているらしかったが、なんどもなんども腕に歯を突き立てる姿を見ていられなくて、俺はその行為を止めた。
ギラリとほとんど理性を失っている赤黒い瞳が俺を見据える。吸血鬼って、人狼と同じでかまれたら感染するんだっけ、なんて考える。そのリスクを負ってでも苦しそうなAを助けたい一心で俺は杖を取り出し、自らの手のひらに魔法をかけた。
ざっくりと深く切れた手のひらからはとめどなく血が流れる。その手のひらをAに差し出すと、かぶりつくように飛びついて俺の手のひらに乗る血を舐め始めた。途端に彼女の体の震えは止まり、辛そうにしていた表情も和らぐ。
俺は胸をなでおろした。当然傷口を舐められれば痛いが、Aの小さい舌が必死に血液を絡めとって飲み込む姿に見惚れて気にならなかった。
しばらくすれば血も止まり、Aは手の甲まで伝った血まできれいに舐めとって、ようやく動きを止めた。彼女は突然体の震えを再開させ、怯えたように俺から飛びのいた。その表情はまた苦痛にゆがめられていて、俺は彼女と開いた距離を詰めた。
「足りなかったか？まだ飲む？」
「飲まない、やめて！来ないで！触らないで、」
パニック状態のAの腕をひとまとめにして馬乗りになり左手で拘束する。細い手首は俺の左手だけで簡単に動きを封じることができてしまった。ぼたぼたと大粒の涙を流すAの目元を右手で拭うが、一向に留まることはなかった。
しばらく拘束したままでAが落ち着くのを待つ。目をつぶって首を左右に振るのを右手で押さえて、俺の目から逸らせないように鼻が触れ合うほど顔を近づけた。そうすれば落ち着いたのか震えが止まり、抵抗もしなくなった。
「…落ち着いたか？」
その距離のまま声をかける。Aは小さく頷いた。俺はAの上から退いて、座ったままAを横抱きにする。
汗で額に顔に貼りつく横紙をAの耳にかけてやる。そしていまだに流れ続ける涙を右手で拭って、左手はAの左手と軽く握った。爪の長さも元に戻っていて、瞳の色も透き通った赤色だ。
「まだおなかすいてるか？」
俺がそうやって問うと彼女は全力で頭を横に振った。先ほど耳にかけた髪がまたはらりと落ちたので、もう一度髪を耳にかけて顔が良く見えるようにした。どうやらもう血は要らないらしい。
ラッキーアイテム
マールヴォロ・ゴーントの指輪
今日の呪文学
ルーモス（光よ）
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アネモネ(プロフ) - お昼ご飯はモンスターさん» ありがとうございます！長い作品ですが、お時間あるときに読んでいただけると嬉しいです！ (2023年1月27日 13時) (
レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
お昼ご飯はモンスター(プロフ) - キメラ想像したらめっちゃ笑いましたwwまだ読んでいる途中ですが続きが気になって黙々と読んでいます。更新お疲れ様です、応援してます！ (2023年1月26日 10時) (レス) id: be756b31db (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - お昼ご飯はモンスターさん» つなぎ目だらけで舌を出すキメラを生み出してしまいました…wご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2023年1月26日 10時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
お昼ご飯はモンスター(プロフ) - フランケン・アインシュタインはおもろすぎるｗアインシュタインとフランケンシュタインは別物ですよ〜 (2023年1月25日 10時) (レス) @page8 id: be756b31db (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - みーやんさん» ご指摘ありがとうございます！見当たる限り修正しました、ご迷惑おかけします。読んで下さりありがとうございました、これからもよろしくお願いします (2022年12月13日 0時) (レス) id: cfb2af5982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アネモネ | 作成日時：2022年11月26日 20時
