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銀 「はあ?おたく、あのドS王子とそーゆー仲なわけ?」
「ただの知り合いです…。」
公園でジャンプを読みながら寝落ちしていた坂田銀時とか言う人にちょいと昔話をしてみれば、これまたなんの縁だろうか。
総悟のことを知っているなんて。
ベンチにもたれながら「ふーん、あーそー、なるほどねー。」と言うこの人は本当に話を聞いているのだろうか。
いらいらする。
すくりと立ち上がり、帰路に足を向ける。多分これ以上ここにいたら不毛な時間を過ごしてしまうことになる。
「私、総悟のことは嫌いなので。」
くるりと後ろを振り向いてそれだけいった。決して間違いではない。むしろ、本心である。
それからは足を止めなかった私にあの人が何かを言っていたかいなかったかなんて私にはわかる余地もなかった。
ミツバ姉が死んで三年が経った。
私たちの関係は相変わらずだった。道ですれ違うこと自体少ないけれども、すれ違っても挨拶すらしない。
そう、他人なのだ。
他人ー。
そう言い聞かせるようにあの静かな蝉の鳴く夏の日のような夜の日に、私は一人、道を歩いていた。
ほんの少し
ほんの少しだけ私の頬をなぜた風が
妙に痛くて
まるで私の気持ちのようで
私はその日江戸に来て初めて
泣きました
なぜこんなにも総悟のことばかり考えているのか分からなくて
泣きました
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作者名:咲 | 作成日時:2017年1月16日 1時