CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ25)

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4.実験反対！ページ25

もぐ。豆腐をスプーンで頬張り、咀嚼する。
センラさんは「すぐ帰ってきます」と言って急いで出て行った。この時間だから、まだスーパーは開いているだろうけれど。

この街で、夜間に躊躇なく外に出ることが出来るというのは、彼が自らの腕っぷしに相当自信があるということに他ならない。

…いや、そもそも彼らの方がテロリストだったな。衝撃的なあの展開から想像するのは容易いが、現在の緩やかな時間や彼の行動に絆されてすっかりそれを失念していた。

私の頭も相当なお花畑、というか知的好奇心や興味に負けて探求したくなるのは研究者の性なのかもしれない。ただ、彼のあの表情や言葉に嘘があるかと言えばそうではないのも事実。

私が料理を食べている間にも嬉しそうな顔をしていたし、言葉一つ一つを紡ぐ間にも表情がコロコロと変わって人間味──人間ではない彼に言うのもおかしな話だが──を感じられた。

別に、純粋にただただ悪い人、という訳ではないのだろう。

煮物の最後の一口をスプーンですくい、口の中に放り込んだ。手を合わせて、ごちそうさまでしたと小さくつぶやく。

…洗い物ぐらいしておくか。食べ終わったお皿を持って流し台へ足を運ぶ。スポンジと、洗剤はここか。蛇口のレバーを上げて水を出すと、冷たい水が肌に触れる。

「あれ。センラは？」

水の出る音でいつの間にか後ろに誰かがいたことに気が付かなかった。
ぎょっとして持っていたお皿を落としかけたがすんでのところでキャッチ、振り向くと茶髪の彼──うらたさんがいた。

「…え、っと。買い物に行かれました。スーパーに」

お皿を両手で持ったまま、彼と目を合わせつつ返答する。すると、彼は「あぁ」と納得したように、私の隣に来て流し台の横で頬杖を付いた。

「飯食ってたのか。そうだよな、人間ってご飯で栄養摂取しなきゃ死んじゃうもんな」と呟く彼。そのまま私の手元にあるお皿をじっと見つめていたから、私はどうすればいいかわからずに固まってしまう。

「…別になんかしに来たわけじゃないから。手止めなくていいよ」
「え、あ、はい」

彼の言葉通りに皿洗いを再開すると、彼はまたじっと洗われていくお皿を見ていた。

センラさんに用事があって来たんじゃないのだろうか？そう思いつつ、どう言葉を選べばいいか迷うばかりで声をかけられずに煮物が入っていたお皿、飲み物が入っていたコップ、そしてスプーンまで全て洗い終わってしまった。