CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ26)

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私の隣で頬杖を付きながら、何かをぼそりと呟いた彼。どうやら、話始めを探っていたのは私だけではなかったらしい。思わず聞き返せば「だから、期間の話だけど」と私を見上げながらはっきりと口にした。

「原因追究の、ですか？」
「そう。具体的に決めるつもりは無いけど、なるべく早めがいいかな」

まだ"粗悪品"とされる菓子には触れてすらいないのに気が早い話である。それほどに彼は私に対して期待、もしくは私が解決するという確信めいた予感を持っているのだろうか。

一度話した限りではあるが、彼は理知的な方だとは思う。『俺には急性中毒を起こす物質の特定が叶わなかった』と彼自身が話した通り、おそらく彼も研究者の類いなのだろう。

そんな彼が未来を予見するようなことを言うのであれば、それは確定事項であるかのような確信めいたものに変わる。

実際、今彼から口頭でのみだが、原因追究の為に使用した中毒性のある物質や薬品をざっと聞いただけでも噂で聞いていた中毒症状と合致するもの、組み合わせばかりで、彼のその知識は偽りのものではない事は確かだ。

「…じゃあ、まだ試していない物や調合を変えるしかなさそうですね」
「そ。それがちょっと量が膨大すぎて俺は骨が折れそうなの」

うんざりした、といったような表情で顔をしかめた彼。

どうやらこれは、詳細に症状を聞いて薬を絞り込む作業の方が重要になりそうだ。洗い終わったお皿を拭き、全て仕舞い終わったところで、話しながら先程までいたリビングだろうか、あの部屋へと戻ろうとする彼について行く。

またソファに座るように言われて、それに従って座り、待っていると部屋の奥へ引っ込んでいったうらたさんが多数の紙の束を抱えて戻って来た。

「ちょっとアナログだけど、今まで試した物の一覧とか調合。──こっちの束が近いかな」

渡された紙を見ると、使用した物質の基本的な症状やそれに対しての治療法が印刷されていた。その付近には手書きで調合の割合や結果が記されており、その書き方からも彼がこの道の素人ではないことがうかがえた。

私に彼らが元々街にばら撒いていた菓子を食べさせて、中毒症状が現れるかどうか実験しようとした、同調した際には信じられないと思ったが。

良くも悪くも、真実を追い求める研究者の気質そのものを彼は持ち合わせているようだ。
そうだ、彼らが元々作っていた菓子。それについて聞くことを忘れていた。