CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ24)

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「料理、お口に合ったみたいで良かったです。ご飯作るの久々やったから、ちょっと不安やったんで」

そんなことは微塵も感じさせない仕上がりだったが。エプロンを付けている様だって慣れていたようだし、包丁さばきだって慣れたものだった。あまり久々に料理をした、というようには見えなかったけれど。

人間と夢魔の違いについてあまり詳しいわけではないが、温度や味も問題は無かった。彼が気にしていたのは彼自身の味覚の部分だろうか？

久々に他人が作る料理を口にした気がする。温かい、手作りの料理を食べるのも久々のような気がした。

「ご飯、なんか好きなもんとかあります？これから僕が用意すると思うんで」
「え、あー…ありがとうございます。…好きなもの、ですか」

好きなもの。美味しいと感じるものは多数あれど、あまりこだわりを持ったことは今までなかったような。毎日の朝食だってコーヒーと安売りのシリアルだ。昼も大抵インスタントの食品、夜は食べたり食べなかったり。

視線をさ迷わせながら唸っていると、私が困っているところに「普段ってよく何食べてるとかあります？」と助け船を出してくれた彼。
あまり健康には良くないと自覚しつつ、先程考えていた自分の朝昼晩のメニューの話をすると。

「…今、なんて言いました？」

信じられない、といったような表情で見つめられる。
そんな顔をしないで欲しい。私だって自覚している。朝のシリアルが健康にいいものが安売りされていたら、それがせめてもの私の健康状態に対する救いである。

…いや、私の健康状態に不具合が出たらそれこそ治験の結果に影響が出てしまう為、サプリメントで調整はしているものの。

言い訳のようにそのことを伝えると、また信じられないといった顔をされた。

「食事管理、させてもらいますね。健康になってもらいますから」

少し怖い笑顔。彼のことが何となく、わかるようになってきた気がする。
…今の状態はあまり良いことでない事ぐらいはわかる。

椅子から立ち上がり、冷蔵庫の中を再度確認し始めた彼。娯楽としてしか彼らは食事を摂らないだろうから、あまり冷蔵庫の中身が豊富にあるようには思えない。実際、こちらから覗き見るとぽつぽつと食材が点在しているだけのようだし。

彼はそれを確認すると着ていたエプロンを外し、「ちょっと買いもん行ってきますわ」と私に告げた。