CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ10)

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「あれ？坂田は？」
「お風呂です、──30分ぐらい前、ですかね。それぐらいに入られましたよ」

リビングに現れた、白衣姿のうらたさん。彼は私に坂田くんの居場所を聞くと、「おー、サンキュ」と浴室の方へと歩いて行った。何か用事があるのだろうか。

私は今鉄分補充期間だからあまり血を抜けないけれど、この期間が終わったらすぐにでも粗悪品に関する研究を再開しなければならないな──と彼の白衣姿を見て思う。

そういえば最近、実験室でうらたさんと一緒になるタイミングがあまりないけれど、彼の研究の進捗はどうなっているのだろうか──と考えていると。

「オイ！坂田！聞こえるか！？……センラ！いるか！？」

急に聞こえた大声。驚く間もなくその声を聞きつけたらしいセンラくんがキッチンから飛んでくる。うらたさんの声色からして、恐らく緊急事態。思わずソファから立ち上がるけれど、どこにでも行けるという訳ではなくて。その場で立ち尽くしてしまう。

「どしたん、緊急事態か」
「し、志麻さん」

後ろから、自室にいたであろう志麻さんが声をかけてきて。何があったのかを聞かれたけれど、少し動揺してしまって。うらたさんが坂田くんに何か用事があってお風呂に行ったら、うらたさんが、センラくんを呼んで、と拙い説明を繰り返してしまう。

「…わかった、Aはここにおり。行ってくる」

私の背中を落ち着かせるように優しく叩いて、彼はリビングを出て行った。
…しばらくして、すぐに彼らが急いで走る音が聞こえて。廊下の方へ視線を向けると、うらたさんが実験室の方へと走っていく姿が見えて。

ハッとしてリビングの中心から廊下の方へ駆け寄ると、センラくんが意識のない坂田くんを抱えて走っていく姿が見えた。

…何で、どうして。
疑問が湧き上がった次の瞬間、一つの結論に行き着く。──彼は数日前から何故か私と一緒にいることが減って、毎日三回の食事代わりの回数も最近減って──今日は、一度も彼に力を分けていない。

喉の奥が詰まって、足が竦んだ。

「A」

呼ばれた名前、その声の方を向くと。
志麻さんが険しい顔で、私を見つめていた。その表情からするに、やっぱりただごとではないようで。

「…説明は後でするから、とりあえずキッチン行こか。何か腹に入れとかんとぶっ倒れるで、夕飯まだやろ」
「え？…あ、えっと」

動揺したまま、手を引かれた。