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【折れた薔薇】
数日でトムはホグワーツの人気者になった。他人を惹き付ける容姿に誰にでも平等に接する優しさ、どの授業でも叩き出す優秀な成績。
優れた人物が注目を浴びるのは当然のことで、彼の周りには男女問わずいつも集まっている。その顔の裏側を誰もが疑うこともなく。
「A」
『……トム?』
同じく入学時から注目をされていたAは、成績優秀で容姿端麗でありながらも周りに人が集うことはなかった。理由は簡単だ。
スリザリンというレッテルに怖じ気付いてしまったこと。彼女が纏う空気が何処となく冷たいこと。トムと違い、笑顔を見せないこと。
それでいてもやはり美しさとは罪なものである。男女問わずを虜にする彼女の一動作。皆がAを高嶺の花として扱うようになった。
『どうしたの?』
「どうしたのって君に会いに来たんだよ」
『いいえ、そういうことではなくて。私なんかと居て大丈夫なのかなって』
「……私なんか(････)?」
図書室の一角に低い声が響いた。それはトムから発されたもので、愛想を振り撒く普段の彼からは想像もつかないほど怒りに満ちていた。
漆黒の瞳は感情が昂ったせいで、緋色に輝く。Aは初めて見たトムの姿に驚き、分厚い本を抱えていた腕に無意識に力を入れる。
「A、あまり自分を卑下するような言葉は言わないでくれ」
『え、あ、うん』
「……すまない。怖がらせた」
『気にしないで』
トムが偽りの仮面を外して接することのできる唯一。それがAだった。冷たい空気を纏う彼女が自分だけに心を許してくれている。
その優越感に浸ることのできる時間がトムにとっては満たされることだ。だからこそ、自身を卑下する彼女の言葉が許せなかった。
椅子に腰掛け、本を開くAの正面に座って頬杖をつきながら彼女を眺める。そして恍惚とした笑みを浮かべた。彼女は自分だけのだと。
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あまね(プロフ) - ヴァンパイア⁉️めちゃ好きです🫶 (9月9日 21時) (
レス) @page32 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
くりきんとん - 主人公の秘密だったりリドルの独占欲がじわじわと感じられる描写など、すごく面白いです！文章も細かく書かれているため内容が薄すぎなくてスラスラ読みやすかったです！更新大変かと思いますが頑張ってください！続き楽しみにしています！ (2022年3月20日 15時) (レス) id: aa56424b90 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - つづきが気になります！ (2022年3月20日 0時) (レス) @page28 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - トム・リドル大好きなんです！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2021年6月12日 1時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セニオリス | 作成日時：2021年6月5日 17時
