2話 出会い ページ4
しばらくして船は、くじら島の港を出港した。
男の子は島の人達が見えなくなるまで元気に手を振り続けていた。
そして次第に彼の笑顔は、将来を真っ直ぐ見つめる面持ちへと変わっていった。
この船の中で唯一、曇りのない心を持った子だなと一瞬で感じられるほど、彼から溢れ出る気は純粋であった。
「ふへへへ……」
「ガキには無理だ」
既に船に乗っていた薄汚い輩は揃って男の子を嘲笑っていたが、そんな声は彼には全く届いていない様子だった。
「ねぇ、君いくつ？」
隙をみて、私は男の子に話しかけてみた。
「12歳！お姉さんは？」
「え、私？私は…20歳かな」
まさか私の歳を聞いてくるとは思ってなかったので少し面を食らった。
まぁ、私から話を振ったのだから仕方ないか……。
正直言うと、自分の歳なんか覚えていない。20歳なんて言ってしまったけど、私って今何歳なんだろう……
「ねぇ、お姉さん？聞いてる？？」
「え……？ごめんね、聞いてなかったかも」
「大丈夫？考え事？？」
「うん、大丈夫。それで、どうしたの？」
「俺、お姉さんの名前知りたい！」
「あ……そういえば名前言ってなかったね。私はA」
「Aさんか……！いい名前だね！俺はゴン！ゴン・フリークス」
「フリークス…」
その名前に引っ掛かりを覚えた。
どこかで聞いた事あるような、ないような……
ゴン「ん？どうかした？？」
「あぁいや……なんでもない」
ゴン「ねぇねぇ！」
そう元気な声で私を呼ぶと、ゴンくんは私の隣にしゃがみ込んだ。
ゴン「Aさんは、なんでハンターになりたいの？？」
「んー…そうだなぁ……。ゴンくんは呪術医学ってものを知ってる？」
そう問いてみると、ゴンくんは静かに首を横に振った。
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作者名：R子 | 作成日時：2020年2月8日 19時
