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そんなある日のこと。
アタシは、会っちゃった。
モデルみたいな美少女と体を重ねてるあいつと。
息を切らして、愛おしそうに女の名前を呼ぶあいつを見て、当時のアタシの頭は真っ白になっていた。
アタシの手は、開いた理科準備室の扉から離れなくなってしまった。
「え……」
「…ッはぁ…真名っ……！！俺、もう…っ！」
「んふふ…♪いいよ♡全部ちょーだい？…あの子に、見せつけちゃえ♡」
「っ……！！」
女は、確実にアタシを見て言った。
あいつの…小刻みに震える体。荒い息づかい。蕩けた表情。
そして…女から溢れる甘い猫なで声。
目の前が、真っ白になった。
「ッはぁ……真名…愛してる。」
「んふっ…♡じゃあ、あの子にも事情を説明してあげないと…ね♪」
「っ……」
そしてあいつは女に言われて、初めてアタシを見た。
緩んでいた表情を引き締めて、あいつはアタシに冷たく言い放った。
「あー…誰だっけ？ 君」
「真白、です……貴方に駅前で声をかけられた…」
「ふーん そんな子もいたかもね〜？ まあいいや 別れよ、オレ達」
「っ……なん、で…？」
「なんで？ あー…じゃあいいよ 君のピュアさに免じて質問に答えてあげる なにが聞きたいっての？」
余裕に満ちたあいつの顔が、最高に、気持ち悪かった。
「えっ、と……その女の子…誰？愛してるって…アタシだけだって…っ！！言って、くれたよね……？」
「……」
あいつは黙り込んだ後、アタシを嘲笑うかのように言った。
「…はっ？ww 君さぁ、あれ本気にしてたわけ？ ピュッアw 君もさ、ここの生徒だろ？ ならオレの噂聞いたことないとは言わせないんだけど」
「で、でもっ……！」
「あﾞーうざ 話長引かせんのやめてくんね？ 迷惑 うぜぇからとっとと失せろよ もうお前は用済みなわけ」
「っ……ま、待って……っ！！」
あいつはアタシの肩を強く押して部屋から追い出した。
その瞬間、室内から男女２人の愉快な笑い声が響いてきた。
そのときにはもう、アタシはなんにもない空っぽな人間になっていた。
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作者名：みゆぬ | 作成日時：2023年8月2日 19時
