うちの子過去編。 (ページ3)

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店に入るなりあいつはダラダラとたわいもない話をして、アタシを笑わせようとした。

でも当時のアタシは緊張で頭が真っ白。

あいつの会話の内容なんてなんにも頭に入ってこなかった。

それでも１人でずっとアタシだけに話しかけてくれるあいつに、不覚にも胸がときめいた。

今思えば、それが良くなかったんだよね。

　「…でさ、この後なんだけど結局どうよ？今のオレの話聞いててぶっちゃけイケるとか思ってない？」

「……ちょっと、だけ」

　「お～っ？マジ？ww オレはキミのこと全然いけちゃうんだけどw どーする？オレら付き合っちゃう？」

「え、えっと……。」

アタシがみっともなくしどろもどろしてても、あいつの目は優しかった。

本気でアタシのことを好きなんじゃないか、って、当時のチョロいアタシは考えちゃうくらい。

それでね、アタシやっちゃった。

ちっちゃく、コクンって頷いちゃった。

でもね、その時のあいつは本当に喜んでくれたんだよ。

その時だけはきっとそうだ、って、信じてたい。