112 ページ12
翌日、私はオンボロ寮の扉を叩いた。
前もって訪問の許可は取ってあるのでそれはもう元気に。
そしたらグリム君が今さっき起きましたという顔で目を擦りながら出て来たので少しだけ申し訳ない気持ちになった。
貴重な姿を見れて嬉しくもありますが。
「わー、見てみろ!雪が積もってるんだゾ!」
辺りが雪まみれな事にはしゃぐグリム君。
その愛らしさは計り知れない。
「どうりで冷えると思った」
「暖炉は大丈夫かな」
「火の妖精ってヤツらも震えてるかもしんねぇな」
薪を持ってく序でにキッチンで食べ物を漁るつもりの彼。
正直に言ってしまう所が実に彼らしいと思った。
「ヒェ〜寒かった!」
「ぎゅってしたら暖かくなるよ」
「断るんだゾ」
私の提案はすんなり断られたけれどめげないもん。
優しい彼の事だから、きっと抱き締めさせてくれる。
「…綺麗だね」
ただ静かに薪を燃やす妖精。
心地良い音量でぱちぱちと鳴っていると思ったら、その中からまた違う音が。
何かを包丁で切っている音に加えてお肉の焼ける音。
刺激的な香りまで漂ってきてる。
それらは厨房からだと断定したグリム隊長に続く。
こっそりと中を覗けば生徒が沢山居て驚いた。
お察しの通り、我らが隊長は無鉄砲なので、それはもう堂々と入ってしまいました。
しかし初めからそんな予感はしていたので何ら問題は無い。
彼らはスカラビアの寮服を着ている。
よく見ればその中心にはバイパー君が居るではないか。
「貴方は確かマジフト大会の時に…」
「ああ、大会前に少し話をしたな」
寮生からの質問に答えながらも此方に気付いた彼は、その手を止めてやって来た。
忙しない様子なのに気を遣わせてしまって少し申し訳ない気持ちです。
「ユウとグリム、だったか?」
「物覚えがいいヤツなんだゾ!」
「俺はジャミル・バイパー。スカラビアの副寮長をしてる」
名前を覚えてもらってる事が嬉しいのか、何だかちょっぴり誇らし気だ。
そんな所も可愛らしい。
「君らは入学以来とにかく目立つからな」
「バイバー君って自分の記憶力が規格外だって自覚ある?」
そんな簡単に名前も顔も覚えられない。
一致だってしない。
リドル君に心配されるくらいには。
『覚える』が私の苦手分野だという主張は大声でしたいし、確かにユウ君とグリム君は二年生の間でもちょっとした有名人だ。
けれど、それを差し引いたって私達とはかけ離れてる事に変わりはないと思うの。
182人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りん(プロフ) - ふわなさん» ありがとうございま😭劇遅亀更新野郎ですが、頑張ります!!!! (2021年11月16日 21時) (レス) id: 0e75b6d63c (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - とっても面白い作品ですねヾ(≧▽≦*)o更新楽しみにしております! (2021年11月16日 13時) (レス) @page34 id: 7054f2498a (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます!!!!わかりにくかったかなーと思ってたので、嫉妬してるところ伝わって嬉しいです😂 (2021年11月13日 20時) (レス) id: 0e75b6d63c (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 更新楽しみに待ってます(●´▽`●)リドルくんの嫉妬とか可愛いです(●´▽`●) (2021年11月12日 22時) (レス) id: ed2686deb5 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 花束さん» ああああああ!お返事遅くなって申し訳ないです!ありがとうございます😭😭そう言ってもらえて凄く嬉しいです!更新、暫しお待ちを!! (2021年10月15日 21時) (レス) id: 35357c875d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りん | 作成日時:2021年7月15日 18時