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稲荷崎高校はインターハイ兵庫県予選を優勝で飾り、近畿大会もベスト3。
全国へ行けることに安堵したのもつかの間で、もうインターハイの組み合わせが発表された。
私は昼休みにその組み合わせ表を部員に配って回っている。
「次はー、……治のクラスや」
教室の前まで来て、近くにいた男子生徒に声をかける。
「あの、宮治いてますか」
「おりますよ」
呼びますね、と言って入口から叫んでいる。
「治ー！呼んではるで」
すぐ治は出てきた、と思ったら教室の窓が開かれて、中から何人かの女子に睨まれた。
え、治呼んだから？
「南さん、ちわす」
「あ、あの治、」
一挙一動を目で追われているような感じがして強ばる。
いや怖い怖いそんな見んといてや。
何もあらへんって。
「これ、組み合わせ出たから、ほな」
組み合わせ表を半ば押し付けるようにして私は足早にその場を去った。
なんなん、治てそんな人気あんの？
親衛隊でもあるん？
ファンクラブか？みんな同担拒否の。
若干不服に思いながら、今度は侑の教室に向かった。
廊下を少し歩いていると金髪のツーブロックが目に入った。
「あ、侑！」
私が声をかけると侑が振り向くより先に、近くにいた女子がこっちを見た。
お前もか。
あかん、なにあの顔、怖すぎるやん。
いやいやいやこれは仕事や、私はマネージャーやで、しゃあない。
と葛藤に打ち勝って正面突破する。
「南さん！」
最後にこっちを向いた侑は私に怒られる癖がついているせいか、尻尾を振りつつも顔を歪めている。
「これインハイの組み合わせね」
侑は紙を見るなり ゲッ2回戦どこどこやん だとかこれは優勝やな だとか1人でぶつぶつ言っている。
ふと北の顔が浮かんで、気が付いたら侑をグーで軽く殴っていた。
やっぱり私は怒鳴るし手も出るなあ、と北との違いを思い知る。
「がんばれよ、侑。ちゃんとやるんやで」
思っていたよりもずっと落ち着いていた私の声に、侑は少し驚いていた。
アホみたいなやつだけど、きっと頭は悪くないし察しも良い。
「ちゃんと見ててくださいよ、南さん」
きっと私の言葉の真意を理解しているであろう侑は、片方の口角を上げて笑っていた。
「侑〜はよご飯食べよ〜」
侑の隣から聞こえた声にハッとする。
甘えたような可愛いその声とは裏腹に、私を見る目が信じられないほど怖かった。
「ごめんな、邪魔して。じゃあまた部活で」
ああいうタイプに耐性のない私は逃げるように戻った。
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なず@ヴィル様の旦那です(プロフ) - うびゃぁ…………今まで読んできた中で一番好きです… (2021年4月10日 16時) (
レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
依(プロフ) - ちびさん» そう言ってもらえると嬉しいです^^お読みいただきコメントまで、本当にありがとうございます！ (2020年6月5日 22時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ感動しました！！最高です（ ; ; ） (2020年6月2日 20時) (レス) id: c0c643d2d0 (このIDを非表示/違反報告)
Rikka(プロフ) - りるとさん» そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます^^ (2020年4月17日 8時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
りると - めちゃくちゃいい話でした！！ (2020年4月15日 0時) (レス) id: 615da3bcde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Rikka | 作成日時：2020年3月18日 10時
