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「いやほんますんませんって。っでも俺悪ないやん!」

「まだ言うか!お前が悪いねん!ええから黙らせろよ!」

「そんなん理不尽や!」


そうそうに諦めて大人しくなった治とは対照に、南さん理不尽やー!とか、横暴や!とか、俺は悪ない!などと叫ぶ侑の声を聞き流しながら部室に鍵をかける。


何を言われようが、この部に不真面目なやつなんていないことは事実で、稲荷崎高校男子バレーボール部は遊びなんかではないことも事実で。
それを邪魔するなんて、私は到底許さない。

この1年伊達にマネージャーをしていないのだから。

みんなが、真剣だから、私だって真剣に支えているんだ。
そんなことはずっと自負していた。



「まあ落ち着きいな、侑」

ぼちぼちと暗くなった校庭を歩きながら北が口を挟んでくれた。


「これが落ち着いていられますか、北さ
「俺らは、真面目にこつこつやっとるからなあ」」


な、と北は私や尾白を見た。
北はずっとそうだ。私はこんなに人間が出来ているやつを他に見た事がない。
真面目にコツコツ、よく言われるけど、彼が言う以上に説得力があるものか。

怒鳴りもしない、殴りもしない。
でも彼の言葉には、すごい圧があって。
侑も治も角名も、黙るばかりか開いた口が塞がっていない。

「南かて、誰よりも真剣やで。もうわかっとるやろ、侑」

ニッとほんの少しだけ口角を上げて北はそう言った。
その一言で、私の心臓はぎゅんっと鷲掴みにされたみたいになった。



誰かが見とる



いつしか北が言っていたことを思い出す。
それはいつのまにか私の中でも当たり前になっていて、ああ北も見ててくれたんかなあ、って嬉しくなった。



それからすっかり大人しくなった宮兄弟と別れて、尾白と別れて、北と2人になった。





「なあ、北」

「なんや」

「……ありがとう」


改めて礼を言うなんて少し恥ずかしくて、変に間が空いてしまった。
それが余計に恥ずかしい。





北は何を言うでもなく、横目で私を見て小さく笑っていた。




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なず@ヴィル様の旦那です(プロフ) - うびゃぁ…………今まで読んできた中で一番好きです… (2021年4月10日 16時) (レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ちびさん» そう言ってもらえると嬉しいです^^お読みいただきコメントまで、本当にありがとうございます! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ感動しました!!最高です( ; ; ) (2020年6月2日 20時) (レス) id: c0c643d2d0 (このIDを非表示/違反報告)
Rikka(プロフ) - りるとさん» そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます^^ (2020年4月17日 8時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
りると - めちゃくちゃいい話でした!! (2020年4月15日 0時) (レス) id: 615da3bcde (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Rikka | 作成日時:2020年3月18日 10時

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