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君は綺麗だ ページ13

大きな音を立てて花火が開いた。ふと隣を見ると京治と目が合う。じ、と見つめられて逸らせない。

「……A」

熱を含んだ声が私を呼ぶ。また花火が開いた。大きな大きな花が、京治を色鮮やかに染め上げる。混じりあった視線が熱くて、心臓がきゅ、と掴まれたように痛くなった。
容易く何かを言ったり目を逸らしたりなんて出来なくて、私は肉食動物に狙われた草食動物のように、息を殺してじっとするしかない。
張り詰めた空気に、緊張とも不安とも言えるようで、どちらも違うような、とにかく落ち着かない気持ちでいっぱいになった。
額にじわ、と汗が滲んでいくのをやけにはっきりと感じた。

私たちにしては異様な空気だった。それは触れてはいけない、ある種の禁忌のような。

次に彼が口を開いた時、きっと私は死んでしまう。もがき苦しんで、悩んで、疼く胸を掻きむしってしまうだろう。
彼の熱に浮かされた瞳、欲を浮かばせた目を見ればわかった。彼が何を言わんとしているのか。

きゅ、と結ばれた京治の薄い唇がゆっくりと開かれる。


「_______」


遠くで花火が開く音がした。

「……ごめん」

必死に涙を堪えて、私が口から出せたのはたった一言、それだけだった。

夕立のような→←残暑、贖罪



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作者名: | 作成日時:2020年7月2日 23時

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