第二十七話 集う鳳凰。 ページ38
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ある夏が近づいてきた六月中旬。
宮城県立伊達工業校の制服に身を包んだ青年が職員室へと足を向かわせる。
「失礼します。追分先生いらっしゃいますか。」
「おう。どうした?朝霧。」
真剣な顔で話をするのは、伊達工業男子バレーボール部三年朝霧恭介。
青髪黄目のイケメンで、学校のアイドルとして陰でファンクラブがあるほどだ。
そんな彼の本当の正体は少し昔中学・高校バレー界の絶対王者として全国の頂に君臨していた鳳凰学園中等部のバレーボール部主将。
日本トップレベルの財閥朝霧グループの跡取り息子である。
ブロックの精度を上げるために親の反対やらを押し切って遠い鉄壁の名を轟かす伊達工に進学した。
「...突然で申し訳ないのですが、入部時にお話したことで...」
「あぁ...そうか。もうすぐインターハイだもんな。」
「はい...申し訳ないのですが男子バレー部、退部させていただきます。」
朝霧は二年間通いお世話になった伊達工バレー部を退部しようとしているところだ。
二年前の誓いを果たし、頂へ立つために。
「今までお世話になりました。先生の元で練習出来たのはとても良い経験になりました。」
頭を下げた朝霧に監督が微笑む。
「こちらこそ。…お前には世話になったよ。うちを目当てにこんなところまで来てくれて嬉しい限りだ。」
「…全国で。お待ちしてます」
「はは、言ってくれるな。おう、また会おう。」
職員室を退出する朝霧に誰かが突撃してくる。
「朝霧さん!!!」
「うおっ、二口。あ、茂庭に青根、黄金川まで」
どうしたお前ら?と言った顔をする朝霧に鎌先がヘッドロックをかました。
「この、この!ばかやろうー!!」
「うぐえ、んだよ鎌先」
もがいて鎌先の手から逃れた朝霧が睨み付ける。
「怒りてえのはこっちだってのによお」
「悪かったってば」
誠意を感じない!!と再びヘッドロックをかまされる。
それを茂庭が溜息ついて止めた。
「もー!最後まで喧嘩すんじゃねえよ!」
「…わり」
気まずそうに視線をずらす朝霧に茂庭が笑いかけた。
「おら!部活行くぞ!」
「はっ?」
二口と青根に押されて体育館へと連行される。
「俺ミニゲームしたいっす」
「朝霧ボコすかあ!」
腕を勢いよく振り回す鎌先に笑いが溢れた。
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シマエナガ - ぶりっ子と悪女とモブのヒロインがいる部活とかカオスでしかないから。【ハイキュー】もめっちゃ推してます!これからも頑張ってください!応援してます! (4月20日 21時) (レス) @page15 id: 781c1cc313 (このIDを非表示/違反報告)
シマエナガ - めっちゃ面白いですね! 次の投稿待ってます! 執筆頑張ってください! (4月20日 21時) (レス) @page15 id: 781c1cc313 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ - とても面白いので、続きがきになります!更新の方をよろしくお願いします!頑張ってください。 (2022年7月27日 16時) (レス) id: ed83340cb6 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ - 過去に何があったんだろう…。面白いので頑張ってください!! (2022年7月16日 19時) (レス) id: 8636a40c43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りぃ | 作成日時:2021年9月5日 22時