だが然し待たない ページ14
数分後。
ふと立ち上がったチアキが二人の間を遮っている透明な壁に再び触れた。
直後にパリンっと、何かが粉々になる音がした。
蛇「あ、」
『…え？』
蛇「…帰るっすよ」『待て待て待て！？』
途端に振り返って後退る狂子。
蛇「僕はちゃんと待ったけど？」
『ちょ、やめ…帰らない！私は帰らない！』
蛇「帰らないなんて聞いてない、文句なら現実で聞くから」
『いやっ、嫌だ…っ！』
蛇「狂子…！」
『化物になった俺が何処に帰るって言うんだよ！？』
再び泣きながら、チアキの手を叩いて怒鳴る。
蛇「…化物、って」
『お前らを追い掛けたアレは私！知ってんだろ！？何で化物になったかは
分からないけど俺はお前らを殺そうとすらしたんだぞ…！？』
蛇「でも、それは」
『…今までだってそうだった、俺は他人に迷惑ばっかり掛けていた。
なら、ならいっそ消えた方が良いだろうが！』
蛇「…狂子」
『もう、放っておいてくれよ…！っ、ぅぅ…！』
(…それだけ限界だった、のかな…)
また更に声を上げて泣き出してしまった。
別人の様に泣きじゃくる狂子に、チアキは戸惑う。
が、その時。
神「あ、少し遅れた様だが間に合ったみたいだな」
そんなチアキの隣に、何と神城が現れたのだ。
蛇「っ！？し、神城さん…！？」
神「遅れて済まない、ちょっと此方も手こずっててな」
そう話す神城は前々よりも雰囲気が幾らか違っていたが、
状況が状況だった為チアキはスルーし、狂子を見る。
蛇「なぁ、どうすればいい？僕は一緒に、帰りたいだけなのに」
神「今の狂子に言葉は通じない。寧ろ悪化させる一方…の場合は」
蛇「…実力行使？」
神「…しかねぇな。遠慮なく、本気で殴らねぇと」
蛇「あんまクールじゃない方法だけど…仕方ないっしょ」
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作者名：徒花(腐女子) | 作成日時：2020年12月7日 12時
