第八十六話 鉄拳制裁 ページ11
「そろそろギブアップしては？息が上がってますよ？」
今なら八大地獄ツアーで多めに見てあげますよ。と金棒で刃物を押す。
バキッ
「くっ……！」
ついに包丁が折れ、金棒が顔面に落ちた。
「何度も何度も、乙女の顔面を何だと……」
「どうせ、無傷でしょう？なら手なんて抜きませんよ？後貴女の顔面がどうなろうと知ったこっちゃない。さぁ、もう鬼ごっこは終わりですよ」
先程愛菜さんが虚しくも落ちた穴が優香さんのすぐ後ろにある所まで来た。
いくら傷が残らないと言っても、体力まで回復は出来ないようだ。
必死に膝をつかないように踏ん張って息を荒げている。
「聞いてたより、随分強いのね鬼灯様は……でも、これ、なら、貴方でも耐えられない、筈………」
「もう立っているのもやっとの身体で何を……悪足掻きはやめなさい」
「うるさい！喰らえぇ‼」
彼女の手から放たれたのは球体の物……
「爆弾⁉」
「消しと……ぇ…⁉」
「鬼灯様！！！！無事ですか？」
投げられた爆弾の軌道が目の前で切り替わり、優香さんに向かって行った。
「ひっ⁉」
ドーン！！！！
「愛菜さん……貴女、落ちたんじゃ……？それに今のは…？」
「えぇ落ちましたよ？途中まで。でも大きな岩があったのでよじ登って来ました。後あれはちょっといじらせて頂きました」
「いじった？」
「優香は気に入った物騒な物を服の中に仕舞う癖があるんだって、義父さんに聞いてたので先程飛び付いた時に細工しといたんです」
「そんな……」
「優香……よくも麦御様にあんな事してくれたわね？覚悟はいい？」
「ひっ！い、いや、来ないで、私が悪かった！だから！ね？お姉ちゃん！」
手をポキポキ鳴らしながら妹に近づく姉の背中は、華奢ながらにも、風格がある。
地にペタンと座り、愛菜さんに懇願する優香さんに、呆れた。
「何を今更……。許す訳ないでしょ？鬼灯様……すいませんでした。後は私が蹴りをつけます」
「い、嫌……やめてよ、ねぇ？お姉ちゃん？」
遂に優香さんの前に着き、ジロッと見下し、拳を握り、脳天を殴った。
「いくら妹でも、容赦しない。私はその覚悟で此処まで来たんだよ。優香……」
地面と宜しくしている優香さんを愛菜さんは頭を掴んで持ち上げ、目を合わせた。
「ひっ！お、ねぇ、ちゃん？」
「私を姉と呼ぶなら、こんな恥を晒すな！！！！」
ゴツッ！！！
愛菜さんに頭突きをされ、優香さんは遂に気絶した。無傷のまま
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作者名：sunijy x他1人 | 作成日時：2016年12月7日 18時
