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“A、この曲すっごくよく出来たんだ!”

数年前に作曲した曲だ。
何もかも思い出した。
医者にも周りにも「何もかも思い出すのは不可能」だと断言された事が全て嘘だったんだ。

何もかも。今までの事。僕とAの事も。


「…A、ご、めん……全部おもいだした…」


僕の言葉に驚いたように大きく目を見開く彼女が愛おしくて仕方がない。

四年前の同じ日。ホワイトデーの日に彼女にプロポーズをしたのだった。


“バレンタインデーのお返し…なんだけど、開けてみて?”


確かにそう言いながら彼女に小さな箱を渡した。
それを開けた彼女は今と同じようにポロポロと涙を零して、くしゃくしゃの笑顔を振りまいてくれた。


“あのね、もう付き合って三年も経つでしょ?それに、もういいかな、って。……僕と、結婚してください”


彼女の瞳は真っ直ぐに僕の事を捉えていた。
そして、嬉しそうに泣きながら“もちろん、まふ以外有り得ないし、まふだけだから……!だから、私こそお願いします…!”なんて彼女らしい返事をしてくれた。

そして、その日一日は、今日と全く同じようなデートをしていた。

一日中二人でショッピングモールを歩き回って、夜になってクタクタになって家に帰って来て。
僕の部屋にAを呼び込んで、そこでロマンチックとは少し離れてはいたけれど誰よりも幸せな時間を過ごした。そこで彼女にプロポーズをした。

何でそんな事すら忘れてしまっていたのだろう。
何で彼女にこんなに辛い思いをさせていたのだろう。
何でもっと早く思い出せなかったのだろう。

何で、こんなにも彼女が愛おしいのだろう。


「全部、思い出したって、ことは…、四年前も?七年前も?」

「うん。全部全部。何もかも思い出したよ。…ごめんね。大事なこと忘れてて」

「ううん、まふが全部思い出してくれて嬉しい…よっ、!」


いつまでも泣き続ける彼女の涙を指でそっと掬う。

七年前に付き合って、四年前のホワイトデーにプロポーズをして、三年前のホワイトデーに僕から別れを告げて。三年前のホワイトデーから何もかも忘れるようになって。

でも、今は違う。
今日と言うホワイトデーの日に、付き合い始めた時のことも、プロポーズした時のことも、病気になって彼女に別れを告げたときのことも。
全て思い出せたのだ。

改めて、ちゃんと彼女に伝えなければ。



「A、お待たせ。僕と、結婚してください」

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雨上がりのcrew(プロフ) - ところで、甘味没収のときのセンラさんは夢主ではなく他の人と結婚をしていたのでしょうか、、、?隠し持っていた結婚指輪と書いてあったので、、、 (2019年7月16日 0時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください!! (2019年7月16日 0時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者一同 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年7月15日 14時

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