「切欠」 ページ40
そんな話もあって、結局黄瀬が私を無難にちゃん付けで呼ぶようになってから少し。
短い期間だけど黄瀬はそれなりに売れっ子になったし、私も黄瀬とそれなりに仲良くなった。
モデル業にも慣れたもので、カメラマンの分かりずらい要求にも付いていっている。
黄瀬が動く度に金髪がチラチラと光るのが眩しくて眉間に皺が寄った。
最近はあそこまで明るくしてなかったけど、やっぱり写真だと映えるし久しぶりにハイトーンにしてみよっかな、とぼんやり考える。
ファッションビルの広告ビジュアルなんて、サロモ上がりの私からすれば芸能界入ってから3年経ってようやくありつけたような大仕事だった。
それを入って1年もしない黄瀬がこうしてこなしてるわけだから、やっぱりあいつはこの仕事に向いてたってことだと思う。
まぁ今回は担当してるアートディレクターの人が私を気に入ってくれてて、私を起用するんなら同じ事務所で売り出し中の黄瀬も一緒に、って感じだったらしいけど。
でもそれは、ただのきっかけに過ぎない。
黄瀬は私のお零れをもらっただけだって言ってたけど、コネだけで仕事もらえるほど楽な世界じゃない。
あっちもプロなんだし、仕事を任せられると思ったから依頼した、結局のところただそれだけだと思う。
運も才能のうちって言うし、私だってMちゃんに出会わなければ埋もれまくって売れてなかっただろうし。
過程はどうであれ結果を出したもん勝ちなこの世界の構造は、シビアではあれど単純明快で私にはやりやすかった。
「はいお疲れ。黄瀬くんのフルショットおしまい!チェックして一旦休憩入ろう」
ディレクターの声に軽い拍手が起こり、黄瀬が周りに会釈しつつ駆け寄ってくる。
「うわ見て!俺超かっこよくないッスか!?」
今まで結構な人数と仕事してきたけど、こんなに嬉々としてモニターチェックしてる人は見たことがない。
適当に返事をして、また今日も差し入れられたアメリカーノを喉に流し込んだ。
「あ、そう言えば。俺バスケ部入ったんスよ、ちょっと前に」
「へぇ」
「帝光ってバスケ部強いの知ってた?
俺割となんでもできるタイプなのに、青峰って人には同級生なのに勝てなくて。いつかぜってぇ勝ちたいんスよね」
「へぇ」
「あ!あとめちゃくちゃ可愛いマネージャーがいるんスよ、桃井さんっていう」
「お前桃井に手出したら殺すからな」
「急に物騒!!!」
125人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「黒子のバスケ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水団子(プロフ) - 歌柚さん» 話の展開を褒めて頂き光栄です、、!!!拙い文に亀更新で申しわけありませんが、楽しんで頂けると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 光華さん» めちゃくちゃ嬉しいです、、恐ろしい程更新が遅いですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
歌柚 - コメント失礼します。ストーリや話の展開が面白くて楽しく見させてもらってます!ストーリ更新楽しみに待ってます!! (2021年7月13日 21時) (レス) id: f33fb75788 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 好きです!更新応援してます! (2021年5月16日 10時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - よもぎお餅さん» 黒子くんのお家に行こうと尾行したら見失った、というエピソードが好きでそこから色々と捏造を重ねたらこんな黒子くんが出来上がりました(^-^)主人公らしからぬミステリアスさが魅力だと思っています!コメントありがとうございました!! (2019年6月19日 20時) (レス) id: f26d4bb807 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水団子 | 作成日時:2016年9月16日 0時