【白布賢二郎】ヒロインの条件【HQ】

13話 ページ13

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「お前さ、なんでそんなに頑張れるんだよ」


膝から血を流す私に白布は呆れながらそう言った。
体育祭の練習をしている途中。

リレーの練習で、校庭の段差につまずいて転んでしまった。
早めに終わった部活のあとだからか、動きが鈍いせいだ。

立とうとするとズキンと痛む傷口。
夕陽が落としたバトンの影さえも長く長く伸ばしていく。


「ごめんごめん」

「ったく、もう保健室閉まってるからな」

「大丈夫、洗えばすぐ治るよ」

「女子なんだから傷が残ったら困るだろ、行くぞ」


白布は日陰になっているコンクリートの階段に私を座らせて、水とティッシュで砂利や血をぬぐい取る。

最近の消毒液は全然しみない。
なんだか寂しいような気さえしてしまう。
大きめの絆創膏を貼って、終わり。

擦りむいただけ、大きな傷ではなくて良かった。


「今日はもう帰るぞ」

「もうちょっと」

「オーバーワークだ、バカ」


私は立ち上がって、バトンの落ちているところに駆け寄った。
バトンを拾い上げて、400メートルトラックの半分、200メートルを走ってみる。

絆創膏がつって、違和感はあるけどさっきよりも気分も身体も軽い。


「白布、あと2回付き合って！」

「１回って言わないところお前らしいよ」


白布はバトンを私から受け取り、トラックの反対側へ向かった。

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