27 ページ27
・
シリウスは、そんな2人の様子を紅茶を飲みながら黙って見ていた。
やがて、紅茶のカップをテーブルに置くと、静かに言った。
『…A』
Aとルーピンは、シリウスの方を見た。
『ん、何?』
「実はここに来る前に…ダンブルドアと話した。そこで…お前に関する事を全て聞いた」
ルーピンは、驚くAの肩にポン、と手を置いた。
シリウスは続けた。
「…お前がどうやってこちらに来たのか。そして、何故来たのか…」
『そっか…私、昔、2人には自分が何者なのかとは話したけど、もう一度こちらへ来た事とかはあまり詳しく話してなかったね』
Aは困った様に微笑んだ。
シリウスは更に続けた。
「…もう、一生こちらで生きていくつもりなのか?」
シリウスの灰色の瞳が、真っ直ぐと自分を捉える。
肩に置かれたルーピンの手に、心なしか力が込められた気がした。
Aは頷くと、ポツリと言った。
『うん…もう、戻らないと決めたよ』
そう言えば、2人は喜ぶと思ったのだが、彼らの表情は固かった。
しばらく沈黙が続く。
やがて、今度はルーピンが口を開いた。
「…A、君は今、とても危険な状況に置かれているのを知っているね?」
『…校長もそう言っていたけど、詳しく知らないんだ。何故なの?』
そう言うと、彼らは顔を見合わせた。
ルーピンが続けて言った。
「ダンブルドアが何故そこを話さなかったのかわからないが…どうやら、闇の帝王が君の存在に興味を持ってしまったらしい」
『え…』
ー何で私?いつ知られたの?
自分がヴォルデモートと接点があるとは思えないが、今、やっとわかった。
何故ホグワーツを離れなければならなかったのか。
Aは黙り込んだ。
すると、シリウスが口を開いた。
「…イースター休暇に私の家に来た時に言った事…覚えてるか?」
『…うん。ずっとここで暮らさないか?って』
シリウスは頷く。
しかしすぐ立ち上がると、Aの目の前に歩いて来て、座った。
そして彼女と視線を合わせた。
「…お前にとって、最も良い方法は元の世界へ戻る事だ。危険が待ち受ける場所で生きるより、平和に生きていく方が良い」
シリウスは続けた。
「…しかし、お前の気持ちを聞きたい。本音を聞かせてくれないか?」
『私の気持ち…』
Aはポツリと言った。
シリウスもルーピンも、彼女をジッと見つめている。
・
195人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
piyo(プロフ) - 絢姫さん» 絢姫様、コメントありがとうございます(^^)とっても嬉しいお言葉…!精進します。これからもよろしくお願いします! (2019年11月23日 22時) (レス) id: 1647fc4bda (このIDを非表示/違反報告)
絢姫 - とても面白いです! 久々に時間を無視して読みました!これからも、応援します! (2019年11月23日 16時) (レス) id: df8558907b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:piyo | 作成日時:2019年11月16日 22時