PARACAGE 5th【ars】 (ページ13)

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153.BBQ。ページ13

雅紀くんがシャワーから出て来た頃には、もう全ての準備が整ってた。
まだ気が治まらないらしいニノくんが雅紀くんのお尻に蹴りを入れたけど、逆に「構ってほしいのー？」なんて抱き締められてる。

おい...ズルいぞ、ニノくん。

炭係だった智くんがお肉を焼いて、翔さんがお野菜を焼いて。
出来上がった焼きそばを潤くんがお皿に取り分けてくれた。

気付くと私、何もしてない。

「私も何か手伝う！」
「今は何もやる事無い」

潤くんに言われて「はい...」って引き下がると、「多分、野菜足りなくなるからそん時に切ってよ」ってちょっと笑いながら言われた。

縁側に座って、ビールを飲みながらお肉を食べる。

「美味しいー！」
「うめー！」

隣同士で座ってた私と翔さんの声がハモって、その横の智くんがンハハって笑った。
潤くんは缶ビールを飲みながら、鉄板から直接焼きそばを食べててワイルド。
仲直りしたのか、ニノくんと雅紀くんは2人でお肉を焼いてる。

「Aちゃーん」

雅紀くんに呼ばれて手招きされた。
そっちに私が行くと、ニノくんが入れ替わるように縁側の翔さんの隣に座って、潤くんも「ビールー」って空っぽになった缶を握り潰しながら家の中に入って行った。

コンロを見ると、焼きそばが少なくなった鉄板の端っこでホルモンが焼いてある。

「ホルモン焼けたよ！」
「あっ！ありがと！」
「マルチョウとテッチャンあるけど、どっちが良い？」
「どっちも良い」
「んもー、欲張りさんだね」

ほろ酔い雅紀くんが、私の取り皿にホルモンを乗せる。

「ホルモン好きだもんねぇ、Aちゃん」
「えっ...うん。好き...」

肉バルに行った時に言った事も、覚えてくれてるんだ...。
こんなの、本当に些細な事なんだと思う。
だって私だって、友達が好きだって言ってた食べ物とかは覚えてるもん。
ヒロシ君の好きな食べ物だって覚えてるし。

なのに、いちいち嬉しい。
いちいち、胸がギューってなる。

「ホルモン好きって、オヤジかお前は」

一人ときめいてたら、ニノくんに突っ込まれた。
何をー！？って彼を見たら、何かニヤニヤされて恥ずかしくなってすぐに目を逸らした。

「お肉もお食べ」
「あ...うん、ありがと」

私のお皿に雅紀くんがポイポイとお肉も乗せてくれる。

決して涼しくない風が吹いた。

雅紀くんがビールを飲む喉を流れる汗に、見蕩れてしまう。