PARACAGE 5th【ars】 (ページ14)

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154.含む。ページ14

みんな、お酒を飲んだりお肉を食べたり。
意外と野菜も食べる人達で、みるみるピーマンやトウモロコシが無くなる。

「A、適当に野菜切ってきてくんない？」
「はーい」

潤くんに言われて、キッチンへ向かう。
冷蔵庫に入ってた野菜を出して、サクサク切っていく。
大声で笑ってる雅紀くんの声が聴こえて来て「近所迷惑になるよー」なんて思うけど、何だか幸せを感じてしまったりして。

雅紀くんとこれ以上近付くのは、きっと無理があると思う。
どんなに雅紀くんが優しかったり、勘違いしそうな態度だったりしても、私は友達としか見てもらえないんだろうな...って漠然と感じてる。
それにほら、雅紀くんの貞操観念とかアレな感じだし...。
でもそれは忘れたい過去があるからだって言うし...とか思ったら、余計に気になってしまうし。

結局、好きになった時点でもう駄目で。
諦めたいと思っても、諦める材料にできそうなどんな事だって好きの糧になってしまう。
惚れたもん負け。

負けなんだよ、負け！なんて思ってたら、また雅紀くんの笑い声。
嬉しいんだかしんどいんだか分からなくて

「もぉぉぉ！」

ザクッとキャベツを切ったら

「いぃった！！！」

指も切ってしまった。

「痛いっ痛いっ！」

こっ...こーゆー時って傷口を心臓より上にしなきゃいけないんだっけ！？
血が出てる左手の人差し指を慌てて天井に突き上げる。

うぅぅぅ...指先がドクドクしてる、痛い...

「Aちゃん？」
「あ...智くん...」
「ビール無くなったんだけど…ちょっと、Aちゃん！」

キッチンに顔を出した智くんが初めて見るような表情で駆け寄って来て、私の左腕を掴んだ。
あいたたたた、指先も痛いけど智くんの力も強くて手首も痛い。

その次の瞬間。

智くんが私の左手人差し指を、自分の口の中に含んだ。

伏し目になってる智くんの睫毛を呆然と見る。
彼の口の中で、血が舐め取られる。

「.....さっ智くんっ！？」
「ん？」

私の指先をそのままに、智くんが目だけを私に向けた。

「こんなの全然大丈夫だよっ！ってゆーか、血がっほらっ美味しくないでしょ！？」
「ん？...あっ！ごめん！！」

パクッと智くんが口を開けて、開放される私の指。

「ごめんごめん！汚いね！おれの唾ついちゃった！洗おう！」
「あ...汚いとかじゃないんだけど...」
「ごめんねぇ」

今度はシンクまで掴まれた手首を引っ張られて、指先に水をジャーっと掛けられた。