２２ ページ23
/
お姉様は真っ先に私に手を振ってくださった。
今日初めて顔を合わせるからか、なぜか久しぶりに出会ったような感覚になる。
まるで数ヶ月会っていなかったかのようなそんな感覚。
実際は昨日もあったし、なんなら休日も会っているのだが。
とにかく、お姉様はニコニコと微笑みながら私の隣に並んで歩き始めた。
先程まで何をしていたのかと尋ねられたので、素直に「課題に取り組んでいました」と返す。
するとまるで小学生のように「えらいねぇ」と頭を撫でられた。
「おっ、お姉様…！ 私はもう高校生ですっ！ 課題如きで頭を撫でるのはやめてくださいまし！」
「でも凛月くんとかやらないときあるもん。偉いよ」
「え〜俺を例に出す〜…？」
「くまくんそう言うとこ直した方がいいよぉ」
「頭良くても成績に傷がついちゃうわよォ？」
「課題は必ず取り組むべきでしょう」
「えぇ…なんで集中攻撃受けてんの俺…？」
あははと大きく笑うお姉様につられて、この場にいる私たちも吹き出してしまう。
凛月先輩だって拗ねたようには言ったものの、楽しそうに眉を下げて笑っている。
(なんだ、お姉様はいつも通りじゃないですか)
肩を撫で下ろすと、話題はプロデュース科の転校生さんのお話に。
途端に笑いがおさまり、凛月先輩の表情が少し険しくなったのが確認できた。
「あんずちゃんって子、良い子だったよ」
「…ならいいけど。何か話した？」
「うーん、なんだろ。特に何も。案内で終わっちゃった」
「ふぅん…」
意味深に凛月先輩が頷くけれど、お姉様は気にせず話を続ける。
三毛縞先輩と知り合いみたいだ、だとか、とても礼儀正しい子だとか。
お姉様もそれはそれは素晴らしい人格者である。人の良い部分を見つけて素直に褒められるのは素晴らしい。
きっとあんずさんも好印象を抱いただろう。
それにお姉様は学科の都合上、個別に校舎があるわけではないので常に男性の中で暮らしている。
だからこそ今回女性の友人が出来て心が弾んでいるはずだ。
(お姉様が嬉しい様子を見ると、司もなんだか嬉しくなってしまいます…♪)
どうか、お姉様にとっていいご友人になりますように。
「Aちゃんったらはしゃいでるわねェ♪」
「まあね〜」
「かーわいっ！」
良い刺激を受けているのですね、お姉様。
だが、弾む私とお姉様とは正反対に、凛月先輩と瀬名先輩の表情は硬いままだった。
/
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 397人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
野宮(プロフ) - いちご めぐるさん» うわーんありがとうございます！！TT 神作品だなんて恐れ多いです！ありがとうございます！！まだまだ不束者ですが、これからもよろしくお願いします！TT そうですね、神作者様たちを参考にして頑張りましょ！^^* 応援ありがとうございます！ (2019年7月14日 13時) (
レス) id: f8fc907ff5 (このIDを非表示/違反報告)
野宮(プロフ) - 知花さん» デザインの方は私の別作品の「シックカラー」というページにて配布しているので、よろしければ覗いてやってください！(宣伝すみません笑) ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！コメントありがとうございました♪ (2019年7月14日 13時) (レス) id: f8fc907ff5 (このIDを非表示/違反報告)
いちご めぐる - 私は読みやすいを通り越して、神作品だと思います！！更新頑張ってください！！私も神作者様を見習わなくてわ…。(ほんとそれな。←) (2019年7月14日 9時) (レス) id: f5f9f3d160 (このIDを非表示/違反報告)
知花 - 私は区別つきますし、読みやすいと思います!!作品のデザイン?もオシャレで素敵だと思います!この作品すごく好きです、更新野宮さんのペースで頑張ってください!!!応援してます♪ (2019年7月14日 0時) (レス) id: c78b3586d2 (このIDを非表示/違反報告)
野宮(プロフ) - 桜さん» 同志ですね！ 視点がコロコロと目まぐるしく変わっていくので少し疲れてしまうかもしれませんが、ぜひこれからも読んでくださると嬉しいです！応援ありがとうございます♪ (2019年7月14日 0時) (レス) id: f8fc907ff5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：野宮 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年7月12日 20時
