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30見えない≠居ない ページ34

夢主side




セルティーさんはずぶ濡れの私を半ば強引にバイクに乗せて走らせた。


そうして連れてこられたのは一つのマンションで、そこは私が一度来たことのあるところだった。



そう、平和島さんや折原さんと始めて会った日に来た岸谷先生の家。


そのことを伝えると、セルティーさんも岸谷先生を既知していて、あろうことか二人は同じ家だと知って驚いた。




部屋の前に来るとセルティーさんが慣れた手つきで鍵を開けガチャリと扉を開ける。




「セルティー!お帰りー!」


こちらが言葉を発さずとも中から楽天的な声が聞こえてきた。

聞いたことのある声、岸谷先生だ。



とりあえず二人ともずぶ濡れなので(といってもセルティーさんは何故かヘルメットしか濡れていない)タオルを用意してもらおうとセルティーさんが岸谷先生にpadを見せる。



「外すごい雨だからねー先にお風呂に入っておいでよ。あ、でもそのまま風邪を引いたら僕が付きっきりで看病してあげられる──」



幸せそうに喋る岸谷先生にセルティーさんは影のようなもので縛り上げながらpadを見せている。


たぶん、止めろとか書かれているんだろうな…。



「……私 帰ったほうがいいですかね?」



この二人と居て私のアウェー感スゴいし帰っていいかな?うん。お二人は同居してるもんね!邪魔しちゃ悪いもんね!




だけどセルティーさんはそれを許してはくれず肩を掴んでpadに文字を打ち込む。



《新羅のことは気にしなくていいから!》


片手で、しかも私より幾分も早い文字打ちに驚くことしか出来ないよ。







「……セルティー?どうしたんだいそこに誰か居るのかい?」



岸谷先生が縛られたままの状態で聞いてきた。



それを聞いたセルティーさんは岸谷先生の影をほどくと私を見せるように ここにいるだろう!と岸谷先生に詰め寄る。


しかし、その行動も虚しく岸谷先生は首をかしげるだけ。



あり得ないと言うように立ち尽くすセルティーさんを見て私は、あははと苦笑いをこぼした。



よくあることなので大丈夫だと告げてから岸谷先生の前に立ち頭を下げる。




「岸谷先生あの時はお世話になりま…」

「セルティー大丈夫?熱でもあるんじゃないかい?」



私の声などまるで聞こえていないかのように被せられる岸谷先生の言葉に、頭は真っ白になり何も言えなくなる。





──どうしよう、まだ気づかれていない…

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作者名:儚きPIERROT x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=h0ak9an0ai6  
作成日時:2015年5月17日 17時

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