透明人間は人間に入りますか？【デュラララ】 (ページ32)

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28黒い曇ページ32

夢主side

今日の学校はいつもより早く終わった。

というより午後の授業がなくなったのだ。

授業担当の先生が不在で課題だったんだけど、担任が先にHR(ホームルーム)済ませて課題終わった人から帰っていいって。

簡単な課題だったし早く終わらせられると思ってたんだけど最後の問題で解答欄がズレてたことに気づいて書き直し。気づいたら教室は私一人になってた。

稀代ちゃん達は帰っちゃったみたい。薄情な子達だよ全く！

家に帰ってもすることないから仕事まで新宿の街をふらふらして時間を潰してるところ。

「あ、折原さんだ」

前を歩くファーつきの黒いコートを着た人を見つけて後ろから声をかけたけど、その人はそのまま振り返らず歩き続ける。

………あれ？気づかなかったのかな？

いつもなら声をかければ気づいてくれるのに仕方ないなぁ、と前に回り込んで大きめの声で話かけた。

けど…

その人は私の横を通り過ぎた。

顔は見た。正真正銘折原さんだった。

故意じゃ……ないと思う。そうする意味もメリットもないから。

……じゃあなんで？

なんで気づかれなかったの？

確かに影は薄いかもしれないけど大きめの声で名前呼んだのに…

「待ってよ！待っ！」

私は振り返り折原さんのコートを掴もうと手を伸ばした。

──それでも気づいてもらえなかったら…？──

「っ！」

言い様のない不安が押し寄せて停止する。

「折原さん…」

振り向いてよ

気づいてよ…

＿＿＿＿＿

「やっぱりガセだったんじゃねーの？」

近くで声が聞こえた。普段なら気にしないし、この言葉も右から左だった。

「でも確かに折原臨也の名前が書いてるぜ？」

……"折原臨也"？

知っている名前を聞いて耳を澄ませる。

路地に少し入ったところで男の人が数人集まって話をしていた。

「名前も写真もあるのにそいつを見つけられないなんてなー」

話をしている一人の男の手には一枚の紙が握られていて皆で紙を囲うようにして見ている。

私は近くに行って紙を覗き込んだ。

あの写真は……私？

紙には"雇用証明書"と機械の字が綴られてあり私の名前がかかれてある。

その紙にクリップで写真が挟まれていてその写真も誰でもない私が写っていた。

どうして…？

黒い雲から一粒の雨が地面に落ちた。