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第51話 ページ4

主人公side






「わわわ、私なんかが、東さんのお名前を呼んじゃってもいいんでしょうか!?」

「勿論」




即答した。だって呼んで貰いたいじゃん。
桜乃ちゃんは指先をもじもじさせて上目遣いで俺を見てくる。
なんだその視線は、俺をキュン死にさせる気だろうか?




「……っ、……さん」

「ん?」

「A、さん」




呟く様に俺の名前を口にした桜乃ちゃんは両手で顔を隠した。
ぽぽぽっとさっきよりも赤みを増した顔を隠したかったのだろう、けれど彼女の白いほっそりした指の隙間から見えてしまっている。そんなとこも可愛い。




「は、恥ずかしいですぅ〜っ!」

「あははっ!」




恥ずかしがっている姿も可愛くて、思わず笑ってしまう。
茹で(だこ)の様に真っ赤になった桜乃ちゃんは涙を潤ませながら俺の視線から少しでも逃げようと顔を逸らしている。

嫌でも期待してしまう彼女の表情。
俺の名前を呼ぶだけでこんなに恥ずかしがるなんて、期待しない訳がない。




「桜乃ちゃん、……っ」




口に出しそうになった。

好きだ、って。
けど、その言葉は出せずに唇は動かない。
桜乃ちゃんが何かに気を取られているのを見て、俺はその言葉を飲み込んだ。

俺の様子に気付かず、目の前の桜乃ちゃんは俺から逸らした視線で一点を見つめてる。俺の目に映る彼女からは、さっき迄の恥ずかしがった表情は消えて驚きの表情があった。


嫌な予感がしたんだ。
何かがチリチリする様な、そんな予感。

思わず俺は彼女が見つめる先へと視線を向けた。


視線の先には見慣れた青いジャージ。
かつては俺も着ていた、青学のレギュラージャージを羽織った何人かが歩いていた。




「そういや、この時期か。地区予選」




これを見ていたのか。

楽しそうに話しながら歩いている姿はあの頃の俺になかったものがそこにあって、桜乃ちゃんとは別の意味で釘付けになる。

俺の時はどんなだったかとぼんやりと思い出そうとした時だった。

桜乃ちゃんの鈴を転がした様な声がポツリと、誰かの名前を呼んだんだ。




「……リョーマくん」




ヒュッと、俺の喉が鳴った。

そういや、桜乃ちゃんの憧れの野郎が青学のレギュラーにいるんだと、そして何よりこいつらが桜乃ちゃんに冷たくしているのだと思い出す。



んでもって、リョーマとはどの野郎だ。

さっきまでの溢れ出しそうな満たされた感情はいつの間にかどす黒い感情に変わっていた。

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バンビ(プロフ) - 真理さん» 現在更新のペースがかなりゆっくりになってしまっていますが、時間を見つけて更新をしていきますので、今後ともよろしくお願い致します。 (1月25日 23時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
真理 - バンビさん» 続きまだですか? (1月24日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - リコさん» ありがとうございます。今後も楽しみにして頂ける様に更新していきます。 (2021年7月18日 11時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - 続きを楽しみにしてます! (2021年5月9日 6時) (レス) id: 8b5e530447 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - 紗衣さん» ありがとうございます。非常にゆっくりな更新になっていますが、楽しみにして頂ける様に頑張ります。 (2021年4月10日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:バンビ | 作成日時:2020年9月4日 12時

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