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静かな静かな図書館で、カタンと小さく音が鳴る。本のページをペラリとめくると、ちらりと見えた赤色パーカーさん。
「今日は、何してんの?」
そう言って、彼は私の顔を覗き込んだ。
無邪気な印象を受ける表情に、太陽が重なって眩しく見える。
今日もどうやらやって来たようで、顔を上げて彼を見た。
赤色パーカーさんの名前は松野おそ松くん。
目立ちもしない街、赤塚に古くから住んでいてここ、赤塚図書館の近所に住んでいるそうだ。
「んとね、今日はちょっと歴史の本でも読もっかなって。」
「げげ!俺の知らない人ばっか…!織田信長くらいしか分かんね〜。」
「おそ松くんも読んでみたらいいよ、すっごく面白いし。」
「俺はお馬さんの新聞読めればそれでよしこちゃん。」
積み重なった本の山の中から一つ取り出しペラペラとページを適当に漁っていたけれど、どうやら肌に合わなかったみたい。
分かりやすい程嫌そうに眉を寄せると本を元あった場所にそっと戻した。
おそ松くんは大抵ここで競馬新聞を読んでから帰る。
必ずと言っていいほど図書館の本にはノータッチ、こんなにも本の宝庫なのにもったいない。
「お、この馬今日勝てそ〜。いっちょ、行ってみっかな〜。」
「競馬ばっかに費やしてるからニートなんだよおそ松くん、働くことを覚えた方がいいよ?」
「もー、Aまで松代みたいな事言うんだから!人生やりたいことやらなきゃもったいないじゃん?俺の座右の銘は『俺が楽しければそれでよし!』だから。」
「相変わらずおそ松くんは自分に甘いね。あまちゃんだよ。」
「じぇじぇじぇってか?その頃の朝ドラ懐かしいねぇ〜。」
「そーやってまたすぐ話を逸らすんだから。」
競馬新聞を読み終わったおそ松くんはぐぐぐ、と伸びをして立ち上がる。
「うし、早速運試しと行きますかねー!」
今日はもうお帰りみたい、いつも数十分会話をしておそ松くんは帰路につく。
手をひらりと翻すと「またな。」とポケットに手を突っ込んで歩き出した。
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あやめん - 神か………… スッゴい面白かった! (2018年5月16日 21時) (レス) id: 484bc4ca56 (このIDを非表示/違反報告)
猫きーちゃん(プロフ) - 神小説きたあああああああああああ (2018年5月7日 18時) (レス) id: 53cbda7169 (このIDを非表示/違反報告)
まんねんみ(プロフ) - めっちゃ面白かったです! (2018年5月2日 17時) (レス) id: f6a1ac4a43 (このIDを非表示/違反報告)
みんちゃ。(プロフ) - やはり毎回面白いです。また楽しみにしてます! (2018年4月30日 21時) (レス) id: 761e184520 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:来夢*゚ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/raimu2/
作成日時:2018年4月30日 20時