お姫さまと総取締の過去ー参ー ページ30
それからA姫様と俺は上様(Aの父)のお達しもあり、部屋で二人きりになった。
A「あの.....十四郎殿とおっしゃいましたね。私といっしょに将棋をしませんか?」
土方「将棋.....ですか?」
A「はい。私、将棋強いんですよ!負けたことがありません!」
そう言った姫様はすごく誇らしげに笑った。
土方「じゃあ、始めましょうか。」
ふたりで将棋をすることになった。
ふたりきりの静かな部屋にぱちぱちと駒を置く音だけが響く。
それは時折、静寂を呼び、そしてその静寂を打破するようにぱちんっといい音が響いていた。
そのとき、俺はあることに気付いた。
少し前、俺の置いた『金将』が姫様の『王将』に次、王手をかけんとしている。
しかし、姫様はそこへなにもしない。
将棋で負けなし。強いなら当然なにかしてくるはずだ。
なのに姫様はなにもいたさなかった。
これはどういうことなのか.....
土方「姫様、恐れながらお尋ねします。」
A「なぁに?そんなにかしこまらなくていいのですよ。」
土方「姫様は将棋は強いと仰いましたが.....今まで誰と将棋をやられたのですか?」
A「手の空いた女中や幕臣たち、あとは父上さまや叔母上さまですかね。」
土方「.....左様でございましたか。」
なるほど合点がいった。
家臣共が.....天下の将軍家の姫様に手加減をしないはずがないではないか。
そして、やはり噂に違わず上様も一人娘の姫様を相当溺愛されているようだな。
その叔母上というのもなにやら事情がありそうだし.....
A「王手!」
一回戦目は俺の負けだった。
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牡丹(プロフ) - そぐむさん» ありがとうございます。とても嬉しいです。小説の方もご愛読ありがとうございます。これからも更新いたしますので何卒よろしくお願いいたします。 (2018年11月15日 17時) (レス) id: 008b18c312 (このIDを非表示/違反報告)
そぐむ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています!合格おめでとうございます!! (2018年11月15日 14時) (レス) id: 3753eef71c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:牡丹 | 作成日時:2018年10月22日 22時