お姫さまと総取締の過去ー弐ー ページ29
震えながら、初めて拝見する公方様のそのお顔は穏やかでとても優しげなものだった。
家昌「君は十四郎といったな。」
土方「はい。」
俺は大奥に上がりたての新参者だ。
普通ならとても雲の上のお方、公方様にお目通りが叶う身分ではないのだ。
家昌「まぁそんなにかしこまらなくていい。実はそなたの父は私の養育係を受け持ってくれていてな、その縁もあり、今日、私は君をここへ呼んだ。」
土方「はっ。かたじけのうございます。」
そんなこと、父上から一言も聞かされたことはなかった。
ただ大奥務めに上がれとだけ.....
しかし公方様はその穏やかな表情のまま言った。
家昌「実はな、私は君に.....このA姫の遊び相手をお願いしたいのだ。」
そう言うと公方様はとなりのA姫の方を向いた。
桃色の着物に打ち掛けを纏い、稚児髷の頭に姫挿しや吹き輪、銀のびらをこれでもかと飾ったまだ幼い姫だった。
A「土方十四郎殿というのですか?はじめまして。」
姫様は上座からそう言った。
家昌「姫はまだ十歳で.....君よりも年下だが、よろしく頼んだぞ。」
土方「はい。慎んでお務めさせていただきます。」
これが、姫様、のちのおんな将軍と俺の初めての出会いだった。
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牡丹(プロフ) - そぐむさん» ありがとうございます。とても嬉しいです。小説の方もご愛読ありがとうございます。これからも更新いたしますので何卒よろしくお願いいたします。 (2018年11月15日 17時) (レス) id: 008b18c312 (このIDを非表示/違反報告)
そぐむ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています!合格おめでとうございます!! (2018年11月15日 14時) (レス) id: 3753eef71c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:牡丹 | 作成日時:2018年10月22日 22時