私の方がモテるけど【青葉城西】 (ページ32)

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27 差～夜久side～ページ32

夜久side

「なあ、佳奈子。あの小鳥遊って子、
ちゃんと仕事してんのか？」

『え、どしたの衛輔？藪から棒に…………』

コテン、と首を傾げる佳奈子。

(うっ、かわいい……………)

「あの娘さ、さっき青城が梟谷と試合してた
ときに、そんなヒマ無いはずなのに俺たちの
方に来て喋ってただろ？だから心配になってさ」

『はあ、もう、これだからおバカさんは…………』

「……………？」

"おバカさん''とは、どういう意味だろうか。

『仕事、してないよ。私が音駒の臨時マネ
やることになった今日くらいはちゃんと
やってくれると思ったんだけど、そんなこと
考えた私も馬鹿だったみたい。あの娘、あれで
自分は信用されてると思ってるんだよ？
そんなわけ無いのにね』

おバカさんでしょ？と苦笑いする佳奈子は、
少し疲れているように見える。

孤「佳奈子、さっき小鳥遊さんに呼び出されてた
みたいだけど、大丈夫だったの……………？」

そうだったのか。全然気づかなかったけど、
それは心配だ。

『ふふ、研磨も心配してくれるの？
大丈夫だよ。ちょっと悪戯されそうに
なっただけだから』

その"いたずら"の内容がすごく気になるんだけど、
たぶん、聞かない方がいいことなんだろう。

孤「その悪戯って、何なの？」

「おい、研磨……………」

(せっかく俺が我慢してたのに……………)

『う～ん、別に言えないほどのことでは
ないんだけど、他校の人たちにまで迷惑は
かけたくないから、それは秘密。ごめんね、研磨』

そう言って研磨の頭を撫でる佳奈子は、
本当は青城のマネージャーなのに、音駒の
臨時マネとして、すごくよく働いてくれてた。

小鳥遊さんも、もし佳奈子がいなかったら
"ちょっとサボり気味な可愛いマネージャー"
だったんだろう。

でも、青葉城西には最初から、超がつく美人で、
気が利いて、優しくて頼りになる佳奈子っていう
マネージャーがいた。

そんなスーパーマネージャーの佳奈子との"差"が
大きすぎて、小鳥遊さんは"可愛いけど
仕事をしないダメなマネージャー"になって
しまったんだろう。

さっき青城と試合したとき、及川が、

「佳奈子ちゃんがいないから調子悪い！」

って、ミスを連発していた。

それくらい、青城にとって佳奈子は
大きな存在だってことだ。

何となく俺は、そんな佳奈子と比べられてしまう
小鳥遊さんを不憫だと思ってしまうのだった。