泉鏡花の被害者【文スト】 (ページ23)

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復讐の終わり。ページ23

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清野さんが命を失い、静寂だけが残った。
鏡花ちゃんはただ立ち尽くし、太宰さんは無表情で清野さんの遺体を見ていた。僕はもうどうすればいいか分からなかった。どうしてこんなことになってしまったのだろう。

「何故ですか、太宰くん。何故ですか！？」

立ち上がった安吾さんが太宰さんの胸ぐらを掴む。
唇を噛み締め、必死に涙を堪えている安吾さんを太宰さんは表情一つ変えず見返していた。

「仕方のないことだった。彼女がそれを選んだのだから」

「ふざけないでください！あの子が本当にそれを望んでいたというのですか！？本当は、死にたくなかったに決まってるじゃないですか！本当は、こんなことしたくなかったに決まってるじゃないですか！どうして……どうして、それが判らないんです！？」

「でも、最期に死を選んだのは彼女だ」

安吾さんはゆっくりと手を離すと、首を横に振った。

「違います」

地を這うように低い声で、彼は否定した。

「彼女は殺されたんです」

◆

清野Aが亡くなったと報告を受け、とある牧師はああそうかと思った。彼女が死ぬ予感はしていた。清野Aは自分の死を悟っていたのだろう。

そもそも、生きるつもりがなかったのかもしれない。早く両親の元へ行きたかったのかもしれない。もしくは。否、死んでしまった今となっては彼女の真意などわかるはずもないのだが。

ただ、彼女の魂が救われることだけを祈ろう。

その日、ナサニエル・ホーソーンはただ一人の愛し君ではなく嘗て愛し君の為に祈ってくれた清野Aという少女の為だけに祈りを捧げた。

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