泉鏡花の被害者【文スト】 (ページ24)

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すべては魔人のてのひらでページ24

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つくづく人間というものは愚かであると全ての黒幕であるフョードル・ドストエフスキーは思った。清野Aは自ら命を絶ち、復讐劇は呆気なく幕を下ろした。

「でもドスくん、本当に良かったの？あの子、結構気に入ってたんでしょ？」

道化師は笑う。
ええそうですね、気に入っていましたよ。
事実、今後の計画にも加えようとは思っていましたから。ですが所詮はそれらも余興のひとつに過ぎません。それに彼女が自決という道を選んだ結果、ぼくの余興は素晴らしいものに仕上がりました。

探偵社はきっと今後も清野Aに負い目を感じ続け、この事件は社員達の記憶から消去することは出来ないでしょう。彼女が選んだ最悪で最高の復讐。死よりも辛い、心に傷を残したのですから。素晴らしい余興でした。

「ははっ！ドスくんってば酷いねぇ。
私はあの子、結構好きだったんだけど……あの子は鳥になれたかな」

道化師は一瞬目を伏せるとすぐに笑顔に戻り、去って行った。その後ろ姿を見送り、フョードルは爪を噛む。

清野Aは鳥というよりは鳥になれない小鳥と云った方が正しいだろう。羽をもがれた哀れな小鳥。空を飛べない愚かな小鳥。

でも、どうか、願わくば

清野Aという愚かな少女が。

「安らかに眠らんことを」

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