前日譚、外側にて。《代理+MDH》 ページ10
唐突に始まった話だった。
「…条件を満たさないと出られない部屋？」
「そうそう、ちょっと昔のネタだけど思いついたんだよね。シャタド君とかダーク君とかリセドリ君とか、そういう奴らをちょちょいっとその部屋にぶち込んで反応を伺いたい。」
一応管理者ではあるMadは、そんなクリエイターの無理難題に溜息を吐いた。
此処の彼ら＿＿Dream含め、その派生達、版権達は創作元とはまた少し違う。作者ではない第三者の書いたそれは所謂二次創作、コピーのようなものだった。
本物ではないが、彼らは確かに、今、自分たちの世界で各々の物語を紡いでいる。そうなっている以上、管理者であるMadの対象になる。
管理するのは仕方のないことなのだが…
「…お前の”推し”達は暴れ過ぎだ。彼らを同じ時同じ空間に閉じ込めたら、何が起きるかわからない。」
このクリエイターの性癖に刺さる、推しになる者は基本悪役、もしくは闇側だった。そして大抵が問題を引き起こすような性格をしている。
もし殺し合いでもしたら＿＿
その不安が、仕事が増えるのが嫌なだけなのか、それとも無駄に命を散ることを嫌う性分が故かの事かは、彼自身にも分からなかった。
「いいじゃん！面白そうだし呼び出すのは頼むよ？部屋は私が作るからさ！」
「お前が作る話なんだから、俺に通さず好きにしたら良いんじゃないか。」
「私は作ることだけだよ。そりゃクリエイターとして口出し指示許諾はするけど、管理権限は君にある。だから話しておこうかなって。」
まだ答えを渋っているMadに肩を竦めて、しかし不自然なほどの笑顔でクリエイターは言う。
「出来るよね、管理者サン？」
「＿＿、」
Madはクリエイターに拾われなければ、今頃、虚空に飲まれとっくに消えていた。
都合が良かったからとはいえ、行き場をなくしていた彼に管理者という役割を与えたのもこのクリエイター。
今の自分が生きているのは、全て彼女のお陰だ。
だから、逆らえない。
自分の意見はきっと跳ね除けられてしまうだろう。そういう性格をしているというのも、彼はよく分かっていた。
「………感謝はしている、恩もある。だが、尊敬はしていないからな。」
承諾の代わりに苦々しく言葉をこぼし、パネルを展開させる。
そうして個々のデータファイルを開けば、3人それぞれが今存在する座標をクリエイターの指定した場所へと書き換えたのだった。
おつきさま、ふたつ。《版権(Dreamtale/DINTIS+JMV)》→←・(終)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
螺子 - 続きが気になる病に罹りました!!のんびり更新待ってます〜!! (2023年2月1日 17時) (
レス) @page19 id: ef6865ad9b (このIDを非表示/違反報告)
もふわた【きまぐれ極低浮上】(プロフ) - 星雪桜さん» コメントありがとうございます、シャタド君にはネガティブのために(大抵が度を過ぎた)悪戯をしてほしいな、と……完全なる幻覚ですが、やんちゃしていてほしいですね…！！ (2023年1月14日 13時) (レス) id: 16b00589d0 (このIDを非表示/違反報告)
星雪桜(プロフ) - そちらのお宅のShattered、ちゃんとネガティブ採取しようと動いて… ｶﾜｲｲ。(本当はそれが正しいのですが)初コメ失礼致しました。 (2023年1月14日 11時) (レス) id: 2d02a9e0d3 (このIDを非表示/違反報告)
もふわた【きまぐれ極低浮上】(プロフ) - 宇治露 歩阿さん» 思いついたら気ままに書いていこうと思います。 (2023年1月13日 8時) (レス) @page9 id: 16b00589d0 (このIDを非表示/違反報告)
宇治露 歩阿(プロフ) - 新作楽しみにしてます (2023年1月13日 0時) (レス) id: 0bb7a6f5d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もふわた【きまぐれ極低浮上】 | 作成日時：2023年1月11日 19時
