私の呪い。【五条悟】

1話 ページ1

「疲れた〜」


残業がやっと終わり最寄りの駅に着く。時間は22時。


5月に入り、最近暑くなってきたから今日は近くのコンビニでアイスを買って帰ろう。うん、そうしよう。
夏本番じゃないしシャーベット系は気が早いかな、まだこの時期だからピノあたりにしておこうか。
ご飯も今日は作らない！コンビニ飯だ！


なんて考えていると、疲れて重い足どりも少し軽くなった気がする。


これからの時期はアイスのラインナップが増えるから楽しみだ。


(あ、…いる)


そして、この時期増えるものがもう1つ


…私は霊感がある。

せっかく家から一番近いコンビニに着いたけど、ガラス越しに見える弁当コーナーの前には、化け物みたいな変な物体がいた。

見えない人はソイツの体を通り抜けながら普通にお弁当を選んでいる。がしかし、見えてる私は化け物に触れてしまうので通り抜けができない。…できてもしないけど。


「セブンがよかったな…」


家を一度通りすぎることにはなってしまうけど、少し先のファミマに行き先を変える。が、名残惜しく思わずぽつりと独り言を呟く。


「見え、てる、の？」


すると真後ろから急に誰かにそう聞かれた。


「えっ」


反射的に後ろを向いてしまう。でも間違いだった。
後ろに人なんていなくて、人型の、でも顔に鼻や口はない、頭部全体がギョロギョロとした何十個もの目玉で覆われた化け物が立っていた。

基本、化け物は知らない振りをしていれば大丈夫なんだけど。でも逆にいえば、見えると気づいた化け物は襲ってくることが多い。


「みえ、てるうう！！」


化け物が叫ぶ。そして刃物のように鋭い手をこちらに向けてきた。


「ひっ…」


やばい、やばいやばい！

頭はその三文字で埋め尽くされ、考えるより先に足が動く。今日の弁当とかアイスをいただく所の話じゃない。私の命がいただかれちゃう。
スニーカーはいててよかった。必死に足を前へ前へと動かす。
かつて体育の成績が5だった私の体、頑張って動いて…！


・
・
・


走り続けて5分は経っただろうか。
撒こうと思って、右左と道を曲がりながら路地を選んでたら袋小路に来てしまった。


追い詰められ、私めがけて腕を降り下ろす化け物を最後に、目を瞑り死を覚悟する。

家で待ってる犬のムクを脳裏に浮かべ、その時を待った


「ｷﾞｬｯ」


…？

しかし一向に痛みを感じない。一瞬で楽になったのかとも思ったけどそうでもないみたい。
それに変な声したし。


ゆっくりと目を開けると、先程化け物が立ってた場所には背の高い目隠しをした男の人が立っていた。

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