転生者は、苦悩する Lv.4【イナズマイレブン】 (ページ43)

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第182話・祝いの言葉ページ43

試合終了後、選手たちが着替えている中、Aは1人入場ゲートで立っていた。

「誰だ」

　誰かの気配を感じ振り向くとそこにいたのは、金髪を靡かせ古代ギリシアの服飾のキトンのようなユニフォームに身を包んだ少年、アフロディが立っていた。

「決勝進出おめでとうAちゃん」
「嫌味な人ね。負けに来るなんて愚かだって顔に書いてる」
「ふふっ、僕もそこまで嫌味なつもりはないのだけれど」

　彼は「ねえ」と言ってAにキスが出来そうなほど顔を近づけた。驚いたAはのけぞり転びそうになる。アフロディは彼女の腰を抱いて引き寄せた。

「うわぁあ？！近い近い近いッ！！」
「あれ、意外と初心なんだね。そんなに顔を赤くしなくてもいいのに」
「違う！そうじゃなくって！恥ずかしいと言うか、そういいうのじゃなくって！顔がいいから止めてぇ！」

　ニコニコ笑うアフロディの顎を手のひらで押し懸命に顔を離そうとするが、彼の力は緩まるところをしらず更に密着されてくる。

「止めろ、バカっ」
「あははっ、神をバカ呼ばわりできるのはきっと君だけだね」
「神様だろうが、魔王様だろうが、バカはバカなんですー！」

　アフロディはゆっくりとAを離し「それで本題なのだけれどね」と言い出した。

「何…？」

　今の攻防戦で嫌に疲れたAは精神的にゲッソリした。

「世宇子に来る気はない？今でも心は分からないの？」
「……言ったでしょ。〝飲むもの〟変えれば少しは考えてあげるって」
「…君は、何故それを？総帥の娘だから知っているってわけじゃないよね？」
「さあね。〝神様〟から記憶っていうプレゼントがあるからかな」
「？」

　前世の記憶を仄めかすAの言葉にアフロディは首を傾げる。するとそこへ豪炎寺がAを呼ぶ声がして、アフロディは一瞬目が離れた隙に姿を消した。

「A、お前今誰かと…」
「うんん、1人だよ」
「そう、か」
「もう出発？じゃあ急がないとね」
「ああ…(何か、隠しているのか？)」

　Aはいつも通りの笑みを浮かべたにもかかわらず豪炎寺は、どこか違和感を感じた。誰かと話しているようにも見えたが相手の姿や声はハッキリしなかったため、勘違いだと考えた。