第005話・可能性と未来 ページ7
「俺も人のこと言えるわけじゃねーんだよ」
「そうなの?」
「染岡も、半田も入学からしばらく経ってから入ったからな!」
「へー」
私、円堂、染岡、半田の四人で輪になってパスの練習をする。
転校してから次の日、早速入部届を出してこうして練習に参加している。
まだ部員も少ないためユニフォームすらないこの時代の雷門。
私は10年後10年後と未来のことばかり見てしまうが来年彼らが優勝しなければ…
10年後の未来も何もないのだ。━━━━きっと来年優勝出来なければ、帝国の天下は続く。
鬼道と円堂は出会うこともない…世界大会だって開催されるかどうかすら怪しい。
「あっ」
「A〜なにやってるんだ?」
「ごめんごめん」
考え事をしすぎた所為か、回ってきたパスを受け止めきれず地面に転がしてしまった。
「……」
「? どうしたA」
「私…信じてるよ」
「え」
転がったボールを拾い、ポカンと阿呆みたいな表情をする円堂たちに向かって言う。
「来年…雷門イレブンは、フットボールフロンティアで優勝する。絶対に」
私が真っ直ぐな目で言うと彼らは更にポカンとする。というより目が点だ。
まあ当たり前だが。何の根拠もないのに、ただでさえ今はマネージャーの秋を入れても5人、
選手に至っては私は女で公式の大会には出れない。
男装すればあるいは……と一瞬考えるもすぐバレるだろう。
「ああ、しようぜ! 優勝!」
「おいおい、俺たち選手は4人ぽっちだぜ?」
「そうだよ。練習試合すら出来ない」
今はまだ消極的な染岡と半田。
「大丈夫」
私が、それまでに君たちを強くしてあげる。さすがに私は監督でもコーチでもないが、
それまでに必要な知識や経験はあるつもりだ。
私は公式戦には出れないけれど、私の想いもきっと彼らは乗せてボールを蹴ってくれるはず。
私は信じている、彼らの可能性と未来を。それは私が転生者であり、
こうして生まれて来た意味になるのであれば。
本来の彼らには私が必要ないのだろうけれど。
けれど…私は、あの人から生まれて…私の意思でここにいる。
きっと何か意味があるんだ、と。
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活字不足卍(プロフ) - 書いてる (2022年6月9日 1時) (レス) id: 63abfde266 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - この話好き!pixivでも書いてますか? (2021年1月23日 8時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:活字不足卍 | 作成日時:2019年3月31日 1時