転生者は、苦悩する Lv.1【イナズマイレブン】 (ページ6)

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第004話・染岡の部員審査ページ6

再びの静寂の中、クラスメイトの視線は男子生徒2人と私に降り注ぐ。
私の場合はその視線は背中に刺さるが男子生徒は違う。視線が目に入る。
罰悪そうに舌打ちしてから自分の席に座る男子生徒2人。
私も自分の席に戻って風丸からの質問の返事をする。

「私、マネージャーじゃなくて選手がやりたいの」
「本当か！女子の選手なんていなかったから大歓迎だ！よろしくな、九重！俺、円堂守！サッカー部のキャプテンだ！」
「……Aで、いいよ…円堂」
「ああ！」

手を差し出されたので握手を交わした。マメが出来ている。腕は学ランの袖で見えないがちゃんと鍛えられているのだろう。
伝説になるであろう人が目の前に。憧れに近い彼が、私と今握手しているんだ――。

感無量だ。
━━━━私の前世、29年間彼氏もいなかったし、普通のOLでオタク生活をしていた。
その中で出会った一つのアニメがイナズマイレブンだった。
子供アニメだと思いながらも見て、ツッコミながらも、とても素晴らしい作品だと思った。
円堂ほど気持ちのいい人間はそういない。一之瀬やヒロトが彼を「好き」だというのも分かる。
まあファンの間では、その2人の発言(特にヒロト)は『そっち』扱いされていたのはさすがに笑う。ネタだと思っている人が多いから、発言には気を付けていきたい。

「ここがサッカー部だ！」
「わぁあっ…！」

放課後、円堂に連れられてサッカー部の部室へやってきた。
秋と半田は違うクラスの様子。秋と円堂は同じだと思っていたんだが、
違ったことにも驚きだ。
掘っ立て小屋の部室は冬だと寒そうで、夏だと暑そうな外見をしている。
きっと空調設備なんてないんだろう。

これが10年後、サッカー棟が出来るまで使われていたと思うと本当に感動する代物だ。

「んで、お前ポジションは？」

私の話なんて聞いていなかったかと思えば染岡が早速聞いて来る。

「キーパー以外ならどこでも出来るよ。基本はMFだけど、要請があればDFでもFWでも何でも御座れ」

染岡は豪炎寺や吹雪のときもそうだったけれど、
サッカーに関しては結構厳しい人物だ。
女がサッカーをやるのに関しては、塔子のときは特に何もなかったけれど、
私はどうだろうか…。認めてもらえるだろうか。