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お陰様で200話となりました。
ありがとうございます!
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掌を開いたり閉じたりしても、あのプラスチックの重たい感触は無く。徐々に、血の気が引いてゆくように感じる。
野生のポケモン?ひったくり?本当に一瞬だったから、何も分からない。
……どうしよう。情報機器、高価な物…。いや、それ以前にキバナさんから貰った物なのに……!
考える度に不安で心が押し潰されそうになるのを、必死に堪えて。とりあえず、周囲を探してみようと辺りを見回すと────。
「─────待って」
「……!?」
少し離れた岩陰から、しかし私の目を真っ直ぐ見つめていたその少女は。黒いツイテールを揺らしながら近づいてきた。
目の前より、一歩下がったくらいで立ち止まり、視線を落とす。私の目から、だんだん下へ。
そうして止まったのは私の足元。少女がずぅっと見つめていたから、私も釣られて目を落とすと……私の足の先すぐに、目をばってんにしているスマホロトムがいた。
「…あ……!!」
「さっき、自分で落としとっ………落としてた」
冷静な指摘を受け、顔から火が出そうになった。ぼーっとしていたとはいえ、落としたのにも気づかないで焦り出すなんて。まして、それを人に見られるなんて…。
直ぐに拾って、砂埃を払って鞄に突っ込むと、私は深深と頭を下げた。
「ありがとう…!!危うく踏んでたかもしれない……」
そう言ってから、顔を上げる。恥ずかしさを紛らすようにフードの端を掴んで少し引っ張ていると、少女はふんわりと微笑んだ。
「よか………いいよ、そげ…………そんな。気ば、気をつけてね」
甘い香りが舞ってきそうな声でそう言うと、彼女は私の横を通り過ぎ、そのままナックルシティの方へ歩いていった。
……姿が見えなくなると、私は自分でも引くくらいの大きな溜め息を吐いていた。
恥ずかしい……自分より、たぶん年下の子に……。
…………ところで、あの子何処かで見た事があるような…気の所為かな……?所々訛っていて、可愛かったな…。
…
……っ、またぼーっと…。………気を引き締めて、はやく、行こう。
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作者名:のりゆ x他1人 | 作成日時:2020年5月1日 23時