度し難い【蓮巳敬人】 (ページ14)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:16,926 hit

口が滑ってページ14

.

ザーッ…と雨の降る音が持続的に聞こえる。つい先程、天気がいいからと洗濯物を干したのにとても晴れていたとは思えないくらい空は曇り、土砂降りの雨が突然降り出した。
にわか雨だと信じたいけれど、この様子だと無理だろう。
急いで外に干していた洗濯物を籠の中に入れて、室内で干そうとすると、座布団に座っていた敬人が立ち上がってこちらへ来た。

何故敬人がいるかって？
休日だし天気がいいから午後から遊びに行く予定で、午前中はうちに居てだらだらしてた。
まさか午後から雨だとは思わなかったけど。

「 A、俺が変わろう」
「え？いや大丈夫だよ、私の物しかないし」
「それはそうだが、雨に打たれて風邪など引かれたら洒落にならん。代わりにシャワーでも浴びて来い」

持っていた籠を奪い取って、私をお風呂場へと背中を押すので、仕方なくシャワーを浴びることにした。少しだった頃にうわっ、とか聞こえたような気がするけど気の所為。
雨で冷えた体を温めてから、脱衣場へ行き着替えてリビングに戻ると、少し顔を赤らめた敬人がいた。

「敬人ありがと」
「これくらい何ともない。だがA。その、下着類を外に干す癖はそろそろ辞めろ」
「なんで？外の方がすぐ乾くでしょ」
「この家に女子が住んでます〜とひけらかしたいのか？襲ってくださいと？」

ちょっと真剣に怒ってくれるのが嬉しくてクスっと笑う。勿論敬人にはバレたんだけど。

「いいか？だから女子1人で住ませるのは危険なんだ。おい、聞いているのかA 」

なんだかパパみたい。

うっかり口を滑らせた。
心の中で思ってる事が声になって出る現象だ。

「貴様…！俺をパパだと言うのなら、貴様はママだ！いいか！わかったら今度から下着類は部屋干しだ」

言うだけ言って満足したのか、座布団があった元の位置に戻る敬人は薄ら耳が赤い気がした。