君をさがしてた。episode3 …2 (ページ37)

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健二郎「……」

ELLY「健二郎さんになら、わかるんじゃないですか？臣さんの気持ち」

ELLYの言いたいことはよく解った。

Aへの気持ちに気付かず、それを嫌悪感と勘違いしてた俺と
Aへの気持ちに気付いていながら、嫌悪感で隠していた臣。

何か一つでも状況が違えばどちらがどちらに転んでたかわからない、裏と表のような２つの想い。
理解できたからこそ、行き場のない怒りが湧く。

健二郎「そん、な…そんなん、臣が、なんも…Aにだって、

…は。え？…どうすりゃ良かったん…？」

ELLY「臣さんが頑固に隠し続けてたから、どうにも出来なかったんですよ。

健二郎さんがAに気持ちが寄っちゃうのもわかるけど…臣さんだって、仲間でしょ？

3年間一緒にやってきた俺らは何だったの？
健二郎さんと臣さん、あんなに仲良かったじゃないですか…たった1人の女の子の事が原因で崩れるような仲だったんですか？

そんなの、何よりAが悲しみますよ…」

ELLYの言葉が胸に突き刺さる。

途端に、ただ純粋に笑いあってた頃のあいつの顔が浮かんできて。
懐かしい気持ちになると、次の瞬間にはそれが苦悩の顔に変わる。

臣もずっと、1人で苦しんでたんか？

そのキツさは、Aに対して同じような気持ちを持つ俺には痛いほど分かった。

健二郎「っ、」

ELLY「今、隆二さんが…臣さんとAを和解させようと頑張ってます。ボーカルとパフォーマーの間に出来た溝を、無くしたいって。俺も同じ気持ちですよ。だから、彼を応援してます」

健二郎「そんなん…」

俺も同じや。

パフォーマーもボーカルもAも臣も関係ない…皆同じくらい大切な仲間。

Aへの想いが強くなる余りに、そんな大事な事を忘れかけていた。

健二郎「ELLY…、すまんかった。」

ELLY「…リハ、戻りますか？」

健二郎「おん。」

臣は仲間であって、敵じゃない。
本当に相手にすべき脅威は、ここにはおらんのや。

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