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ステージの幕が上がり、
俺らは割れんばかりの歓声に包まれた。
Aはいつも通りの ステージの上だけで見せる心から楽しそうな笑顔を見せて歌い、踊っている。
ファンの皆も、今となっては俺らも。
その笑顔に元気を貰って。
会場はますます盛り上がっていく。
そんな中で目が行くのは、Aを支えるボーカルの片割れ。
笑顔で会場に手を振ってはいるが、
真実を知ってしまった今、それは必死に取り繕ってるもの以外の何者でもなくて。
ELLY『ステージの後、Aと話するつもりらしいって、さっき隆二さんが言ってました』
ステージ直前にELLYから知らされたこと。
その場には俺だけでなく…A以外のパフォーマーが全員揃っていて。
岩ちゃんと直己さんは、俺と同じように、臣の真実に戸惑っていた。
こればっかりは、俺らは何も出来ひん。
臣は俺らに何一つ相談してこなかった。
それでもちゃんと、Aの為にってあいつが決断した事なら、黙って応援するしかないんや。
大熱狂の中、ステージの幕は降り、俺らはバックステージに帰ってくる。
健二郎「…臣ッ！」
広臣「？…ッ、」
バチンッ！
怒鳴る勢いの俺に戸惑う臣に、力一杯のハイタッチをかまして。
健二郎「やっぱお前最高やわ、流石やで！」
広臣「え？あ、…ーーん？」
健二郎「パフォーマンスの話してんねん！お前どんだけ歓声貰っとんのや、嫉妬するわ！」
広臣「は、…健二郎さんも、相変わらずキレッキレでしたよ」
健二郎「当たり前や！
ーー臣ッ！」
広臣「なんですか笑」
健二郎「頑張れよッ！」
俺の言葉に目を見開く臣。
広臣「っ、はい。」
何に対する頑張れなのかわからないはずなのに、力強く頷いた臣に、俺は満足してしまった。
全部終わったら、一緒に酒でも飲みに行って ちゃんと臣に謝ろう。
んで、多分、俺の最大の恋敵になるだろうから…そん時は容赦せえへん。
だから臣、
ちゃんとAと和解して、俺と同じ土俵まで上がってこい。
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作者名：とまと野郎
| 作成日時：2014年11月22日 22時
