15話 ページ38
ご飯を食べ終わり、ハリーは寝るために部屋へと入っていった
私は皆が起きるまでは暇だし今は手伝うこともないからと静かに庭に出た
敷地内であろうと一人で外に出るのは控えるようにと言われたけれど、ずっと室内にいると少し窮屈だ
人間社会に馴染んできたせいかだいぶ身体が鈍ってしまった
久しぶりにしっかりとトレーニングのようなことをする
そうして朝日が昇り始めた頃、遠くの空に夜をその身に纏ったかのように真っ黒なフクロウが飛んで来た
真っ直ぐに私の方にきたので腕を伸ばし止まらせてやる
ずいっと手紙のついた足を差し出された
誰からだろうかと思いながら受け取り、フクロウのことを優しく撫でる
少し無愛想でクールな子だけど、他の子より随分と分かりにくいながらも気持ち良さげに目を細めている
『ふふ、良い子ね。お手紙ありがとう、休憩していってね』
フクロウ用の小皿に水を入れて置き、改めて手紙を確認する
宛先は私で間違いない…差出人は…S.S…
…お叱りだろうか
大人しく封を開け中身を開く
「身勝手な行動は慎め。」
すごい短い手紙
やっぱりセブルス先生からで間違いないらしい
でも確かに自分勝手に行動してしまっていた
先生にしっかりと連絡しておくべきだった
返事が必要なものなのかわからないけれど、取り敢えずまずは手紙ででも謝罪を伝えておこう
急いで部屋に戻って便箋を取り出した
『勝手なことをしてしまいごめんなさい。私が出ていったあと何か起こったりしましたか?ドラコはどうしていますか?どうか先生も無理はしないでくださいね。p.s 食事と睡眠をしっかりとってくださいね。』
よし、と便箋を綺麗に畳んで封筒に入れた
そこに一緒にリラックス効果のある良い香りの草花を入れて封を閉じた
ルークに頼もうかな…でも目立ってしまうかな…
ピックウィジョンは…それこそ危険な気もする…
どうしようかと悩んでいると、部屋の窓がコンコンと叩かれた
顔を上げると窓の外には先ほどの黒いフクロウがいた
窓を開け中へと招き入れると堂々とした態度で足を差し出される
『もしかして…届けてくれるの?』
撫でながら問いかけると顔を逸らされてしまったが、それでも足はずいっと差し出されたままだ
クスリと笑いながらその足に丁寧に手紙をくくりつける
『貴方セブルス先生のパートナーなの?なんだか似てるわ』
無愛想かと思いきや不器用な優しさを持っている
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作者名:葱 | 作成日時:2020年6月2日 19時