私が何をしたって言うんだ。【入間銃兎】

16 ページ18

銃兎さんが家を出たあと、

私は昨日同様、"やっておいて欲しいこと"をやる


お昼頃になるとやることも無くなり、
1人、何も無い部屋にこもり携帯を見る



タンスの中にしまわれたトップスとデニム。

ハンガーにかけられたコート



机に置かれたマニキュア、お財布



マニキュア以外は全部…

私の記憶がなくなる前からある物なのに




色々手がかりを探すべく、財布の中身を全て取り出す


どっかの図書館のカード、ポイントカード、免許証、いつのか分からないレシート、知らないお兄さん お姉さんの名刺………出てくる小銭とお札


『どれもこれも覚えてないじゃん…ｯ』




無数の連絡先の中に、唯一心に響いた存在の"あづ"





今までずっとどこかで考えていた


私にとっての何かであるはずの"あづ"





彼女はきっと、私の妹だ






消えた記憶達がしっかり私の中にあった頃、

私はそこそこ頭がよかった気がする





もし、私が"あづ"に連絡をしたら、助けてもらえるのか


母さんと表記された人に連絡をすれば、

なにかが ━━━━━………






消える記憶の最後の音になっていた、誰かのすすり泣く声




なぜ泣いているのかわからない





消える記憶の最後の温度となっていた、体の冷たさ




消える記憶の最後の熱となっていた、左胸付近の壮絶な熱




そして、その熱を感じていた場所にある傷跡






『………………知りたいｯ………』






後を考えること無く、私は携帯の画面に浮かんでいる

"あづ"の表記をタップした

17→←15

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す