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凪咲：た...大我っ
火神：っわり...
掴んでいた凪咲の腕を離すと不安げに見上げる凪咲と目があう
火神：...聞いていいか？
その問いにすぐについさっき隠した中学時代のことだろうと察している凪咲は言葉を詰まらせる
黒子：凪咲さん、君がいいなら僕から話しましょうか？
火神：っお前いつの間に
相変わらずの影の薄さに驚く火神を気にもせず、じっと凪咲を見つめている黒子
凪咲：テツ君...話したら私...
黒子：大丈夫です、凪咲さんは何も悪くないですから
凪咲：...うん
いつも無表情な黒子が見せる優しげな表情と凪咲を撫でる手に、不安げだった表情が少し和らいだように感じた
黒子：火神君、場所を移しませんか？
黒子の言葉に3人は少し歩いた先の公園のベンチに腰掛けた
黒子：...彼女はアメリカからの留学生として入学当初からかなり話題になっていました。
少し言いづらそうに黒子は過去を話し始めた
黒子side
——中学時代
アメリカから留学してきた彼女は一日遅れて初登校となり、クラスメイトの前で自己紹介がされた
凪咲：橙木凪咲です！よろしくお願いします。
ほんの少し違和感を感じさせる話し方の彼女は、目を引くきれいなオレンジ色の髪と瞳をしていて教室にいた誰もが目を奪われた
先生：橙木はアメリカ人と日本人のハーフでな、2歳からつい昨日までアメリカに住んでいたそうだ。仲良くしてやってくれ
簡単な自己紹介を済ませた彼女は昨日は空いたままになっていた僕の左隣の席に座った
凪咲：よろしくね！...えっと
黒子：黒子テツヤです
凪咲：橙木凪咲！
黒子：さっき聞きました
凪咲：あっそうだね
ふふ、と笑った彼女の人懐っこい笑顔や性格はアメリカ育ちだからだろうか、そんなことを漠然と考えているといつの間にかHRが終わっていてすぐに彼女の周りは人だかりができる
あっという間にクラスになじんだ彼女は、成績優秀、スポーツ万能でその容姿からも注目されることが多くなっていった
中でもバスケ部に入部した彼女の実力はずば抜けていて、強豪だった帝光中のレギュラーになるのも時間の問題だと思われていた
そんな彼女がある時から時折暗い表情を見せたり、ぼーっとすることが増えていった
黒子：凪咲さん、何かありましたか？
凪咲：テツ君...ううん何もないよ
一瞬顔を曇らせた彼女はすぐにいつもの笑顔で笑った
この時無理にでも事情を聞くべきだったと後悔することになる
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作者名：Nagisa | 作成日時：2022年7月11日 2時
