笑顔で満たして。【椎名ニキ】

12話 ページ13

『ふあ……眠い……』

翌日、昨日の電話通りESのビル前まで来た。余裕を持って10分前に。
それにしてもニキは何故こんな朝早くに……人目に付きたくないからだろうか。
腕を組みながら考えていると、「Aー！」と声が聞こえた。


「はー、流石早いっすね……」
『そう、かな』


「そうっすよ！」と笑う。今の表情でさえキュン、としてしまう。全く無自覚は厄介だ。


『あの、それで。話と渡したいものって何？』
「あ……じゃあ、渡したいものから』


そう言って取り出したのは、1枚のチケット。文字を見ると【Crazy:B 単独ライブ】と書いてある。
という事は、ニキの出るステージ……？


「プロデューサーさんに無理言ってもぎ取ってきたんす。折角会えたから、………Aに見てほしくて」
『そっか……うん、分かった。行くよ』


ぱあっと嬉しそうになるニキ。私自身彼がアイドルになったと噂で聞いた時から1度は見てみたかった。それがこんな形で見れる事になるとは。
……少しズルをしてる様な気分になるけど。


「で、話っていうのは＿＿＿」

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