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28通目 ページ29

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ー貴方side



手紙を書いてそれを出すのを躊躇って
結局三日経って私は郵便局で手紙を出した。
一週間…は掛からないかな、向こうに届くの。



A「…ふぅ」



郵便局を出て、感じた風は涼しかった。
秋先で寒いはずなのに
手紙を出すまで私の体温は上がっていて

緊張が解けたようなそんな感覚。
全身を冷やしてくれる風が気持ちいい。



劉「ん、手紙、出せたアルか?」


氷室「大丈夫。きっとシュウも喜ぶよ」


A「…うん。…学校行こ」



郵便局に付き合ってくれた劉とタツヤは
大体事情を話した為、知っているので
私に気を使って笑いかけてくれた。

…友達、っていいな。



氷室「…ん、あ、ちょっと待って」



タツヤの言葉の理由は分かっていた。
音の発信源は彼のポケット。
携帯が鳴った為だった。



劉「電話アルか?」


氷室「うん、誰だろう…あ」



タツヤは髪で隠れていない方の
右目を少し見開くと「もしもし」と電話に出た
誰だろう、と私と劉で見ていると
その人物の名前はタツヤの口から出た。



氷室「シュウ、慌ててどうしたの?
…え、ああ。… 学校近くの
郵便局に一緒に居るけど、え?」


A「…シュウ?」


劉「何か…あったアル?」


氷室「…えっと、どこから話そう」



電話を終えたのか、携帯をしまうと
タツヤも珍しく困った表情をしていた。
少し考えるように顎に手を当てた後
軽く両手をあげ一度目を閉じ
ゆっくり開けてから言った。



氷室「その、シュウが、秋田に来たみたい」


A「は?え、なんで?」


劉「わざわざ来るって…何事アル」


氷室「それは俺も…場所を聞かれて
言ったらすぐ電話が切れてしまってね

でも、Aが居るかを聞かれたから…」


劉「なるほど、Aに会いに来たアルね」



劉の言葉に、一気に心拍数が上がった。
なんで、なんで会いに来るの?
いや、私に会いに来たとは限らないし

会いたい、と思うのに会いたくないと思った。



A「ええ、まって、今会うのは気まずい
って言うかなんで、手紙さっき出しちゃった
それに今から朝練だし、だから」


劉「落ち着くアルー」


A「ふぐぅぅ…」



劉は私の頬を両手で包み込むと
そのまま軽く力を込めてきた。
そのお陰で私の口はタコのようになり
言葉を発することは出来なくなった。

劉は手の力を抜くと頬に触れたまま
屈んで私の顔を見てから、目を伏せた。

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ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 祥吾様といつ付き合いますか (2019年5月1日 9時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - あの…僕のリク書いてくれてるのにあんな事言ってすみません 何があっても祥吾様を命懸けで守る執念が暴走してました (2019年4月30日 15時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:由麻 x他1人 | 作成日時:2017年12月23日 18時

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