25話 ページ26
正面の扉を凄い勢いで押し開けば、廊下へと出てちょうど書類を持って歩いていたらしい上忍とぶつかりそうになった。
「おっ女の子ぉ!?」と驚く声が後ろにするのに心の中で謝りながら走る足は止めない。
チャクラを込めて踏み込んだ足をもっとより先へと地から壁を蹴って反転する。
反動を込めて手をつき、曲がった角の先の向こうの大扉。
瞳に映る扉よりももっと奥、脳裏に描く金の光だけを目指して一直線に駆けようとした足だったが。
「!?」
「止まれ!お前一体どこから侵入した!?」
声と掴まれた手で、視界が一気に目に映っている光景を認識して思考が戻って驚く。
怒り声で手を強く掴んで離さないのは、扉の前で番をしていた上忍の1人で。
しまった、と眉を下げて後悔する。
普通に考えて行動していれば、扉の見張りをしている彼らの存在など当たり前に理解できるはずなのに。
ミナトの気だけに集中してしまっていたAは、周囲の状況へ意識を向けていなかった。
正確には向ける余裕すらないほどに集中してしまっていた故だったのだが。
「はっ、はなして下さ!あの、おとうさ…火影さまに会いたいんです!」
「何をいきなり!まったく、こっちへ来い!」
「やっ…!はやくしないとっ」
おかあさんがあぶないのに!、と叫びかけた言葉は咄嗟に飲み込む。
見下ろしてくる上忍たちを見て、浮かべられている怒りの表情と否定の感情に駄目だと気持ちを押しとどめた。
無断で侵入した子供を捕えて怒りで染まっている彼らは言葉を聞いてはくれないだろう。
そんな彼らに、不用意に口走ってはいけないと思ってしまったから。
しかし掴み上げてくる彼らを振り払うには手荒な手段を取らなければと至るも無理だと泣きそうになる。
Aが抵抗を激しくすれば、余計に不信感を煽ってしまい食い止めは更に激しくなるばかりだろう。
どうしたら、と顔を歪めてぎゅっと瞳を閉じた時に聞こえた助けが低い声だった。
「どうした、何を騒いでいる」
「はっ!…ダ、ダンゾウ様!?いえ、この小娘が…ッ、お騒がせして申し訳ありません!」
カツリと廊下の先から足音を響かせてゆっくりと歩いてくる影へ振り返って固まる。
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作者ホームページ:http://なし 作成日時:2017年6月17日 0時