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11. ページ11

「このクルーウェル様から逃げだすとは本当に良い度胸だ」





青筋を立てながらそう言うクルーウェル。当時はまだ28歳で相変わらず若々しい。





『クルーウェル先生も大変ですね。問題児ばかり相手にしてて』

「教師とはそんなものですよ。

……そうだ。来週授業で灯火の花の蜜を使いたいんだが」

『さすがクルーウェル先生。丁度開花の時期です。

採取するならお手伝いしますよ』

「それは助かります」





クルーウェルは優しげな笑みを浮かべてそう言うと、Aと共に花の元へ向かった。





「____ん。こんなものか。結構たくさん育っているな。

Aさんが普段から丁寧に育てているだけある」

『えっ?あ、いや……そんな大したことじゃないですよ』

「聞けば、ご自分で栄養剤などを作っているとか?

さすがにプロは一般魔法士とは違って育て方が違いますね」





何歳になっても人は褒められると嬉しいもので、それはAとて同じことだった。

それに何よりもAにとって重要なのは、”クルーウェルに”褒められたということだ。





「手伝ってくれてありがとうございます。

お礼に、今度ディナーでもいかがです?美味しいレストランを知っているんです」

『嬉しいです。ぜひ』

「ではまた連絡します」





クルーウェルはそう言うと植物園を出て行った。






『はぁ〜……服買いに行かなきゃね。

ヴィルに連絡して見繕ってもらおっと』

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作者名:梅こんぶ | 作成日時:2020年11月24日 21時

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